哀しみの華始めに はじめに読んでください。この話の設定等、注意書きがあります。 01 運命はこの日、この時、大きく狂わされていった。 02 それはきっと、一瞬だった。 03 あんな現実、もう忘れたかったから。考えたくなかったから。 04 「入り込まれたんだ。体の中に。」 05 「この状態が続けば、俺たちはいずれ飢え死ぬ。そういうことやろ。」 06 これは夢なんかじゃない。悪夢のような、現実。 07 「俺は嫌だ!諦めたくなんてない!!」 08 「ちょっとだけ、羨ましかった。」 09 過去を忘れる必要なんてない。だけど。 10 「ありがとなっ・・・!!」 11 「・・・見つける。必ず、元に戻れる方法を・・・!!」 12 それが例え仮のものであっても。 13 「聞かれたくないなら聞かない。」 14 「・・・お前のことや。既に気づいとったんやろ?」 15 「それでも、動かないで後悔するよりよっぽどいい。」 16 彼を大切に思えるのは同族意識だけなんかじゃない。 17 「だけど、変わりたいとは思う。」 18 これから何が起ころうとも、乗り越えられる気がしていたんだ。 19 「俺もお前らが大切やった。」 20 それでも私たちは、貴方を一人になんてしないから。 21 湧き上がってくるのは、たった一つの感情。 22 「ああ・・・。こんな形で・・・会いたくなんてなかったよ。」 23 あの時の言葉に、偽りはなかった。 24 「一人になんてさせない。そう決めたの。」 25 彼がどんなことをしても。どんな姿になっても。 26 だからきっと、こんなにもお前が愛しかった。 27 「ありがとう。アイツの言葉を伝えてくれて。」 28 貴方は決して・・・一人じゃなかった。 29 「あはは、定期的に聞くんだね。もう大丈夫だってば。」 30 「・・・何なのよ一体・・・!」 31 「もしかして、私が一番強いと思ってる?」 32 その言葉は私の心を温かく包んでくれた。 33 「・・・どうして、一人でこんなことしたの・・・?」 34 また誰かを信じてもいいのだろうか。 35 「あはは、やっぱり一馬ヤキモチ焼いてるみたい。」 36 「結局俺も不安だったんだよ。先の見えない未来が、この力が。」 37 あの言葉が、気持ちを楽にするためのものじゃなかったとしたら? 38 もしも本当にそんな状況が来たら・・・私はどうするだろう。 39 「・・・どういう意味?何が言いたいの・・・?」 40 お願い、諦めないで。 41 「だから、行こう。一緒に。」 42 けれど、もう抑えられない。 43 「話せよ。そうしなきゃここは通さない。」 44 「・・・私にも力があったら・・・よかったのに・・・」 45 何を言っても、届かない。 46 彼女とは違う世界で、願っている。 47 今度こそ、大切な人たちを俺の手で。 48 もう少し勇気があったなら、他にも道はあったのだろうか。 49 「・・・友達。」 50 そうすることしか、俺には出来ない。 51 知っているんだ、本当は。 52 もう、不安はないんだ。 53 生きていることだけが救いの道だなんて、思えない。 54 「私も、何一つ忘れない。」 55 「・・・賭けではあるな。」 56 なあ、誰なのかわかってるか? 57 俺だって、会いたかったよ。 58 「変わってないね、一馬。」 59 「気張りすぎだ、バーカ。」 60 何を信じて、何を疑えばいいのか、わからなくなった。 61 本当は、泣いてほしかった。 62 「家族だから、仲間だから、なんてのは、ただの建前に聞こえる。」 63 それが現実にならないように願っていた。 64 「何を支えにしてもいい、二人で生き残れ。」 65 お互いしか見ていなかった。お互いしかいないと思っていた。 66 「渋沢からの伝言だ。」 67 「お前はずっと、大切にされてた。」 68 この人はいつだってそうだ。 69 それだけでこんなにも心強かった。 70 「だから、俺たちがいるんでしょ。」 BACK |
BGM【散華】 by Litty