あの人の話をするとき、先輩はいつだって、楽しそうに、幸せそうに笑う。 いつか私もこんな風に、誰かに好きになってもらえるだろうか。 こんな風に、誰かを好きになることがあるだろうか。 幸せの理由 01 たくさんの花々に囲まれて、聞こえてくるのは恋の話。 02 幸せそうに笑う先輩につられるように、きっと私も笑っていた。 03 言葉どおりに、泣いていたわけじゃなかったのに。 04 自分で自分がわからなかった。 05 そうならない前提を知っていたから。 06 すべての感情の答えにつながった。 07 そんな些細なことが、どうしようもなく嬉しかった。 08 確信にも似た期待が、大きくなっていく。 09 時間が経っても、どれだけ一緒に過ごしても、 10 聞かないほうがいいと、予感がしていたのに。 11 ただ、それだけだったの。 12 こんなにも感情が揺さぶられたことなんてない。 13 だから、迷うことはなかった。 14 傷つけたくなくて。嫌われたくなくて。 15 好きだったから。大好きだったから。 16 その言葉に対する答えは決まってる。 17 たとえそこに、恋愛感情がなかったとしても。 18 そうして貴方が笑うから。 あとがき BACK |