ずっと側にいたかった。





それがどんな形でも、貴方の一番でありたかった。











想い













「すごいちゃん!またテスト一番??さっすがー!!」










さん、体力測定でも女子で一番だってー!すごいよね〜!」










がまた告られたらしいぞ?!その男もチャレンジャーだよな〜。
につり合う男なんて、そうそういねーよなー!」










何かをする度に聞こえてくる賞賛の声。
テストでいい点を取るのも、体力測定で記録を出すことも
全部アイツの隣にいるため。その結果だった。

誰に認められても意味がなかった。
私が認めてもらいたいのは、たった一人。










「克朗!」

。委員会の仕事は終わったのか?」

「終わったよ!てか終わらせた。クラスの皆、勝手にクラス委員にするんだもん。参ったよ。」

「ははは。それだけが信頼されてるってことだろ?」

「ったく。他人事だと思って適当言ってるでしょ?」

「そんなことあるわけないだろ?本心だよ。」










ずっと一緒にいた幼馴染。ずっと想っていた幼馴染。
昔から優しくて、大人びてて、皆から頼られる存在。

アンタの隣にいるのに、恥ずかしくないように。
誰にも文句がつけられないように、勉強も運動も努力してきた。










「あー!渋沢くんとさんだ〜。」

「お似合いだよね。あの二人。」

「ねー。渋沢くんカッコいいけど、さんなら許せるって感じ。」










だけど。周りの誰に認められようとも。










「・・・なんか聞こえるけど。」

「ははは。皆、何か勘違いしてるよな。」

「・・・。」

「俺たちは、ただの幼馴染なのに。」










アンタに、克朗に認められないと意味なんてなかった。










?」

「明日から大会だね。」

「え?ああ。そうだな。」

「自信はありますか?武蔵野森の守護神サマ?」

「当然だろ?」

「うっし。私もマネージャーとして、克朗の頑張りを見届けてやろー!」

「ああ。頼むよ。」










克朗にとって私は『ただの幼馴染』。
でもね。それでも。





克朗の一番近くにいられるのなら、このままでもいいと思った。





克朗と恋人になって、何をしたいと言うわけじゃなかった。
その辺にいるカップルみたいに、ベタベタしたいわけじゃない。

ただ、ただね。
克朗の側に、ずっと、ずっと、一緒にいたいとそう思う。

だから言わなかった。言えなかった。
私を見ていない幼馴染に、この想いを伝えることは、その関係が崩れてしまうってことだから。

今はそれでいい。克朗が私を見ていなくても。
私は『大切な幼馴染』のままで、アンタの側にいるから。














そう、思ってた。

















「克朗!おはよっ!」

「・・・ああ、。おはよう。」

「・・・何か最近元気なくない?」

「そんなことないよ。」

「嘘つくなっ!他の人は騙せても、私が騙せると思ったら大間違いだからね!」

「・・・ははっ。そうだな。その通りだ。」





大会も終わって、武蔵野森は優勝したと言うのに
克朗はなんだか、上の空でいることが続いていた。
他の人には何でもないようにみえるかもしれないけど、
長年付き合ってきた幼馴染の私には、その微妙な変化がわかる。





「元気が、ないわけではないんだ。」

「じゃあ何?何か悩んでるの?」

「・・・いや・・・その・・・。」

「言ってみなさい!克朗くん!さんが話を聞いてあげるから!」





克朗は言いづらそうに、頭をかく。
そして、私を見て、複雑そうな笑みを浮かべて、言葉を続けた。










「好きな人が、できたんだ。」











一瞬、頭の中が真っ白になった。
克朗のその言葉が、胸を締め付ける。




















克朗の一番近くにいられるのなら、このままでもいいと思った。





克朗が私を見ていなくても。『幼馴染』のままでも。
克朗にとって、一番近くにいる存在が私ならば。





じゃあ、『幼馴染』を超える存在がいたら?
克朗にとって、一番近くにいるのが、私でなくなったら?





そしたら、私の『想い』は、どこへ行けばいい?












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