「はー!労働っていいね!」





もう姫設定どっかに飛ばしてんじゃね・・・はっ!しまった!
小人たちに迎えられて数日、白雪姫は彼らが仕事へ行っている間の家事を任されました。
一国の姫ではありましたが、普段からの教育、そしてメイドと仲が良かったこともあり家事は難なくこなすことが出来ました。
一通り洗濯物を干し終えると彼女は家の中へ入っていきます。





「大丈夫?三上?」

「うっせえな、たいしたことねえって言ってんだろ?!」





また三上か・・・おっと!!
小人の一人、三上が熱を出していたため今日は彼の看病もしています。
素直じゃない彼でしたが、心優しい白雪姫は献身的に彼を看病しました。





「へー!じゃあ勝手に一人で何でもすれば?!」

「ぜひそーするわ。お前の助けなんていらねえよ。」





『あいつら普段からあーなんじゃねえの?地が出てる感ありすぎなんだけど。』
『そうかもな。でもそれを劇に持ってくるってのも自由すぎると思うけど。』





なあどうしよう!俺、お前らみたいに軌道修正できねんだけど!

『『だから喋るなナレーター!』』





み、皆と仲良く過ごす毎日でしたが、そんな日々も長くは続きません。
白雪姫が生きていると知った王妃が自らの足で彼女の元へ向かっていたのです。











「こんにちは〜、どなたかいらっしゃいますか〜?」

「ハーイ。」

「リンゴはいりませんか〜?」

「・・・。」

「・・・。」





バタン!





『・・・あれ、ここって魔女からリンゴ受け取るとこじゃなかったっけ?』
『明らかにそのはずだ。』
『うん、でもあんなにでかい魔女みたら、とりあえず家にひきこもるよな。』
『やっぱり人選ミスじゃねえ?』





突然小人の家にやってきたのは、フードをかぶったリンゴ売り。
実は大のリンゴ好きである白雪姫。そのリンゴ売りを家へと招き入れます。

『まだ招き入れてねえし!』
『まだドア閉まってるから!なんとか軌道修正しろ若菜!』





え、ええ!だから俺そういうの苦手なんだって・・・!ぐはっ!





「し、失礼しました。わたし人見知りなもので、あははっ!」

「そうなんですか〜いえいえ気にしてませんよ?」

「それで、リンゴでしたっけ?」

「はい、いりませんか〜?」

「い、いり・・・って無理あるでしょこれは!正体隠せてないわ!私はそこまでバカじゃないわよお母様!!」





ええええええ!!

『言った・・・!でも俺も確かに無理あると思う!』
『190センチの王妃の正体わからないって白雪姫どんだけ鈍いって話になるよな・・・。』
『でもここまで言ったからには責任とってもらわないとな。アドリブに期待。』
『まあ話つなげてもらわないと若菜がパンクするなこれは。』





「ふふ、やっぱりバレちゃいましたか。」

「バレないわけがないよね。ああやっと言えた。」

「お前が例の王妃か。」

「ふふふ、そうですよ〜。ところでこの家小さくてかなわないんですが、なんとかしてくれませんか?」

「お前がでかすぎんだよ!」

「お母様・・・そのリンゴには毒が入っているんじゃないの?」

「正解です。」

「どうしてそこまで私を・・・!」

「貴方が王に愛されすぎているからです。」

「どうしてそこまであのうざ・・・うっとおし・・・き、気弱なお父様のことを?」





『正直すぎだろ。』
『白雪姫の父親嫌いぶりがにじみ出てくるな。ていうかそんな設定はもとからなかったよな?』





「あの人は貴方ばかりで私を見てくれない。だから貴方さえいなければ、私を見てくれるとそう思ったんです。」

「は、なんつう短絡的思考だよ。それで娘を消すって?そんなことしても愛情が戻ってくるとは思えねえけどな。」

「私も最初はのことも愛そうとしていたんです。けれど・・・いつだって愛されるのは貴方で、貴方が愛されるたびに私は孤独になっていく・・・!」

「お母様・・・。」





『須釜の迫真の演技に拍手。』
『相手は尾花沢元監督だっていうのに・・・』





「ごめんなさいお母様・・・!私も諦めてばかりで何も行動にうつさなかった。お母様の気持ちもわかってなかった!」

・・・!」





『あ、須釜、に抱きついた。』
『どさくさにこれを狙ってたんじゃねえ?』





「一緒に帰りましょう。そしてお父様を・・・」





シャクッ





「シャク?って、何でリンゴ食べてんだお前はあああ!!

「だって、手元に大好きなリンゴがあったからつい・・・勝手に手が・・・」

「アホかーーー!!ていうかなんで綺麗にむいてあんだよ!」

「ふふ、私がさりげなくむいておきました〜。」

「ふふ、じゃねえ!さっきの話しながらどうやってむいてたんだよ!あれか、俺らが気まずくて俯いてる間にか!」

「もうダメだ・・・」

「おい!!コラーーー!!」





『え、何このコント。』
『・・・って、でも何気に流れが戻ってるぞ。白雪姫がリンゴを食べて倒れた!若菜!おい若菜!』



な、なんだよ!もう俺の手にはおえねえよこいつら・・・!



『おえる!おえるように変わったから!それからマイクついてる!ほら、ここのページから・・・』
『もう黒川が読めばよくね?』
『中途半端なところで変わるのは雰囲気が壊れるから禁止だって言ってただろ、監督。』
『こんな状態で雰囲気も何もないよな。』





うう、ちくしょう。
ま、ま・・・魔女の毒牙にかかり、毒リンゴを食べてしまった白雪姫。
その場に倒れこみ、動かなくてなってしまいました。



途方にくれる小人、三上。そして計画に成功したものの、その場に立ち尽くし複雑な表情を見せる王妃。
そんな二人と目を覚まさない白雪姫のもとへ、彼女を救う足音が近づいていました。






王子の登場?俺にまかせときな!女の扱いなんてちょろいぜ!

鳴海が王子なんてありえないね。王子なら僕がなってやるから安心しろよ。

何言ってるの?鳴海は問題外。椎名は姫でもやってればいいでしょ。





『選択肢で会話すんな。』
『自由すぎるだろお前ら・・・!』