ドス、ドス、ドス・・・そのゴリラのような足音は徐々に白雪姫のもとへと近づいていきました。
「待ってろよ白雪姫!俺が助けてやるよ、ふははは!!
って誰がゴリラだ!!しかも俺、自分で歩いてる設定かよ!馬とか乗ってねえの?!」
『いきなりナレーションに話しかけてるんだけどアイツ。アホじゃね?』
『この話の登場人物は全員アホだと思う。』
『黒川が黒くなった・・・!黒いのは肌の色だけだと思ってたのに・・・!』
『間違えた。この話に関わってる奴ら全員アホだ。』
馬は鳴海のうざさに逃げ出しました。
「おいコラ設楽ーーー!!」
なぜか一人怒っている鳴海という男は、他国でも噂になっている白雪姫に会いにきていた男の一人でした。
決して王子ではありません。王子と言っているならば、それはただの虚言癖のある男なのでしょう。
『なんかこの回、設楽暴走しすぎじゃね?』
『確かに。』
女にも逃げられ、馬にも逃げられた哀れな男、鳴海。
彼は白雪姫に会うために森を駆け抜けます。ゴリラのような振動を残して。
『台本にはなんて書いてあったっけ?俺あんまり読んでねえんだよな〜!』
『読んどけよ。後が怖いって言ってたのお前だろ。確かここは鳴海がを助けに行くパターン・・・あれ。』
『どうした?』
『ちいさく補足が書いてある。』
『どれ?』
「チッ、もういい。白雪姫までたどり着けばこっちのもんだしな。」
『この回はアドリブにしてみるのもいいかもしれないわね。面白くなるなら何でもやっちゃって!』
『『・・・。』』
勢いよく駆け抜けるわりに、鳴海は極度の方向音痴でした。アホです。
白雪姫に一度は近づいたものの、どんどん違う方向へ向かってしまいました。
『設楽がまた分岐の回のナレーターになったのに、文句を言わなかった理由はここか!』
『いきいきしてるな・・・。』
「設楽、てめえ!」
結局鳴海は白雪姫に会うことなく、森を駆け抜けていってしまいました。ああ、残念。
これも運命なのでしょう。諦めましょう。
「ざけんななんだこれ、なんで暗転して・・・ちくしょうこうなったら無理矢理にでも・・・ぐはっ!!」
『・・・。』
『・・・。』
さて、それでは本物の王子登場の話へと進みます。
姫と見間違えてしまいそうな綺麗な顔の王子がやってきた!
クールビューティと称されるキムチ好きの王子がやってきた!