少しずつ俺の日常に潜り込んでくる。





人を振り回す天才なんじゃないかって思うよ。











落ちてきた天使













朝の教室。教卓の前に立つのは、毎朝見る担任と・・・





 でっす!これからよろしくお願いします!」





俺の家に居座るエセ天使。
ちょっと待って。おかしい。明らかにおかしいよね?

何でが俺の学校の制服着て、転入生と紹介されて、何で、





「へへっ!英士。隣の席だねっ!!」





何で俺の隣の席に座ってるんだ・・・!!














「やーちゃん!『また明日』って、本当に今日来る予定だったんだなー?」

「そうです!実はこの学校に転入する予定だったんだよね!!」

「何だよ〜。英士が言い間違えとか言って!」

「・・・?」

「おーっと!!英士には内緒だったんだよね!驚かせようと思ってv」

「マジでー?だったら大成功だよ!こんな驚いた英士の顔、久し振りに見たぜっ?」





何食わぬ顔で、結人と話をしてるのは何で?
せっかく学校で、変な天使のいない生活を送れると思ってたのに。

まさか俺の学校に転入してくるなんて。
しかも、クラスまで一緒ってどういうことなの?

大体、普通に考えて転入なんか出来るはずが・・・。





「結人ー。」

「え?何だよ一馬。」

「俺、昨日の課題出しに行くけど、結人も行くか?」

「あ!忘れてた!!英士に写させてもらっても、出さなきゃ意味ねーじゃんな!!行く行く!!」





昨日、課題を持ってくるのを忘れた一馬と一緒に、結人は職員室へと向かった。
隣に座ると、目線を合わせずに話を切り出す。





「・・・どういうこと?」

「へ?」

「何でウチの高校に転入なんかしてるの?ていうか、どうやって潜り込んだ?」

「いやー、天界の力はすごいよねぇ〜。」





ああ、つまりこれも情報操作。
ていうか、天界って怖いな。一体どれだけ人の記憶を作りかえられるんだよ。





すごいね。これも天界の力ってわけ?チッはた迷惑な・・・

「・・・うん。すごいよね。」

「天界の力があれば何でもできるんだね。」

「まあ大抵のことはできるんじゃない?でも天界にも規制ってものがあるからね。好き勝手に力は使えないんだよ?」

「・・・そう。残念。」

「・・・?何が?」

「その力で俺の記憶からお前を消してくれればよかったのに・・・。」

「・・・さっきから小声にするとこ間違ってない?!」

「え?全然間違ってないよ?」

「なおさらタチ悪いよこんちくしょうー!!」





うるさいよこのエセ天使。と呟くとが泣きそうな顔で俺に謝った。何その怯えた表情は。そんなに俺が怖いの?
失礼だな。俺が優しく注意してあげたってだけなのに。

無言でいる俺に、が怯えながら俺の様子をうかがう。
だから俺はそんなに怖くないっていうのに。大げさなんだよねは。





「それで?何でウチの学校に入ってきたの?遊びだなんて言ったら、今すぐウチから追い出すよ?」

「遊びだなんてとんでもない!お仕事ですよ!お仕事のためなのです!!」

「仕事って・・・『赤い糸』が云々言ってた奴でしょ?」

「そう!恋を助けてあげるのです!!」

「どうでもいいけど、もう少し静かに喋りなよ。うるさいから。

「きー!!また人を馬鹿にしてっ!!」





確かにうるさいのもあるんだけど、こんな話の内容、クラスの人に聞かれたくないし。
ただでさえ、転入生ってことで注目浴びてるっていうのに。
クラスメイトが遠目から興味津々でこっちを見てるのもわかってるしね。
ここは窓際の席で、幸い周りに誰もいなかったから話ができるけど、聞かれた瞬間俺は変人扱いだ。





「・・・それでウチの学校に来たってことは・・・その対象者がウチの学校にいるってこと?」

「そーです!さすが英士!!カンが鋭いねっ!!」

「・・・その人も災難だよね。こんなエセ天使にくっつかれることになって。」

「何をー?!天使(見習)がつくなんて幸せ、滅多にないのよ?!英士も幸せでしょ?!」

「・・・。」

「目をそらすなーーー!!」





幸せか災難かと聞かれたら、俺は間違いなく災難だったと答えるよ。
大体、が来てから気が休まったことないんだけど。





「それでね英士くん。」

「・・・今更『くん』付けしないでよ。気持ち悪い。」

「気持ち悪いって・・・!!女の子に言うセリフじゃありませんよっ!!英士ちゃんっ!!」

「キモイ。」

「わかったよカックン・・・。それでね。」

「・・・前もそう呼ぼうとしたよね?その呼び方、気に入ってるの?」

「うん。そう呼んでいい?」

そっか。やめろ。エセ天使。

「怖い!英士が怖い言葉使うよ〜!お母さーん!!」





の叫び声に、一部のクラスメイトがこっちを見る。
やばいかな。このまま話していると、俺まで変人として見られるかも。





「でね。話を戻すとね。」

「・・・ちゃんとした話に着くまでが長いんだよ。の場合。」

「何それ!ひどい!!英士がツッコミばっか入れるからじゃん!!」

「人聞きの悪いこと言わないでよ。が一人で喚いてるだけでしょ。」

「きー!!お母さんに言いつけてやるっ!!」

「はいはい。それで何が言いたいの?
ちなみに俺、くだらない話は無視する方向で行くから。

「くだらない話って決め付けてるでしょ?!しかも無視する気満々だし!!」

うん。それで?」

「頷いちゃったし!もー!だからね。英士に聞きたいことがあるのです!!」

「だから何?」





「英士は『風祭 将』と言う少年を知っているかね??」





「・・・は?」

「だから、風祭 将って子。知ってる??」

「同じ・・・サッカー部だけど。」

「グッジョブ!!(ぐっ)」





「まさか・・・の任務の対象って・・・風祭?」

「そう!!けど、誰にも言っちゃダメだよ?サポートパートナーの英士にしか話せないんだから!!」





こんな話の内容、誰に話せるんだよ。と思いながら、ちょっと茫然としてた。
まさか自分の知ってる人間が、変な任務の対象になってるとはね。



それと同時に嫌な予感。



またしても俺の日常が、崩れていくそんな予感。




この天使(見習)は、一体どれだけ俺を振り回せば気が済むんだろうか。












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