あんなに小さかったのに 「たっだいま〜!!おとうさんが帰ってきたぞー☆」 「・・・。」 バタンッ。ガチャ。 「・・・。」 「・・・。」 ガチャガチャ。ガチッ!! 「〜!〜!!お父さんだよ〜!!開けてーーー!!」 「何に助けを求めてんのさ。お前はもうウチの人間じゃない。」 「そんな息子を勘当した父親みたいな台詞を使うなよ翼!お前がお父さんみたいだぞ?!」 「ああ。もう勘当でいいよ。アンタ赤の他人だから。」 「翼!たった一人の父親に何を言うか!お願いですから入れてくださーい!!」 チャイムが鳴りドアを開けると、そこにあったのは突然現れた親父の姿。 僕はすぐさまドアを閉めたのだけれど、家の鍵を持つ親父は僕が何回鍵を閉めて追い出そうとも また鍵を使ってはドアを開けようとする。 ドアのチェーンをかけて家に入れまいとすれば、奴は最終手段。情に訴えかけるという手に出てきた。 それも相手は僕じゃなく、。とことんいい性格してるよね。 「おにいちゃん・・・?あ、え?おとうさん?!」 「ー!そう!お父さんです!ここを開けておくれ!」 「。戻っていいよ。コイツは僕が処理しておくから。」 「処理って何だ息子よ!!お父さん、とりあえず遠慮しとく!!」 「遠慮しなくていいよ。遠慮するなら帰れ。」 「ぎゃー!!お兄ちゃん怖いぞ!どうしたお兄ちゃん!!」 「やめろ。お前にお兄ちゃんとか言われたくない。 心底気持ち悪いから止めてくれる?」 「お、おにいちゃん。それくらいにしてあげなよ。 おとうさんが泣いてるよ?」 「ーーー!!」 ああもう。コイツの情に訴えかける作戦は大成功だよ。 こんな状態のコイツをがほっとけるわけないし。 仕方ない。言いたいことも聞きたいことも山ほどあるわけだし。 「・・・わかったよ。だけど、洗いざらい吐いてもらうからね。」 「よっす!元気だったか!!」 ・・・やっぱり沈めとけばよかったかな。 「・・・で?2年も帰ってこなかった理由から聞かせてもらおうか。」 「なあ。いつから翼はこんなにガラが悪くなっちゃったんだ? 昔は天使みたいに可愛い子だったぞ。思わず娘にしようと・・・うがぁっ!!」 「余計な話は禁止。に慣れなれしくするのも禁止。 お前は聞かれたことだけ答えろ。、こっちおいで。」 そういうとはおずおずと心配そうな顔をしながらも、親父のもとを離れ僕の隣に座る。 小声であんまりいじめすぎちゃダメだよ、と耳元で囁いた。 全く、は本当に優しすぎなんだよね。 「何だお前ら。本当の兄妹みたいだな。 うんうん。やっぱり翼に任せて正解だったな!この仲良し兄妹めっ☆」 「・・・吊るされたい?」 「ごめんなさい。」 全くどっちが親だかわからない。 こんなに威厳のない父親ってどうなんだよ。 でも僕の怒りも尤もだと思ってる。手紙だけ残してを置いていった親父。 たとえそれが友達の娘だったからって、僕一人に任せていくなんてどうかしてる。 なんだかんだでそれを受け入れた僕もすごいとは思うけど。 認めたくないけど、今まで親父からかけられた迷惑による慣れだったと思ってるよ。 「・・・仕事が忙しくてな。どうしても戻れなかったんだよ。」 「こっちが連絡入れろっていっても返してこないし。一体どういう神経してんの?」 「だって翼に怒られちゃうと思って・・・。」 「何その子供みたいな言い訳。」 呆れながら、ため息をつく。 ああ。コイツはこういう奴だった。 今更僕が何を言おうが、何の効き目もない。わかりきってる。 「でもおとうさんが元気でよかったな。おにいちゃんも心配してたんだよ。」 「いや、それ違うから。心配じゃなくて怒ってただけだからね。」 「そうかそうか子供たちよ!!お父さんがいなくて寂しかったか!!」 「違うって言ってるだろ?!もうお前アメリカに帰れ!!」 「ええ?!何を言うんだ愛しの翼!!お父さん、やっとの思いで帰ってきたんだぞ?!」 「知るかそんなこと。あ、そうそう。大人が必要なときには玲に頼んでたから。 お礼くらいしとかないと、後が怖いと思うよ。」 「むむ?!玲ちゃんか!!また高くつきそうな子に頼んだな!!」 「そう思ったから玲にしたんだよ。わかるだろ?」 聞きたいことはまだまだあるけど。 これ以上コイツに付き合ってても時間の無駄だ。 僕らの聞きたいことに触れようともしない(むしろごまかそうとしてる)親父を一瞥して の手を引っ張って、自分たちの部屋へと向かった。 「・・・よくあんな親父についてくる気になったね。。 ていうかごめんね。あんな親父で。」 「おとうさんはいいひとだよ。パパの手紙をとどけに、何回も施設に来てくれたの。」 「・・・ふーん。アイツがねぇ。」 「きょうは・・・パパの手紙、もってなかったのかな?」 「ああ。じゃあ僕が聞いてくるよ。はもう寝な?」 「ううん。あした聞いてみる。おにいちゃんも疲れてるでしょう?早く寝なくちゃ!」 2年経ってもは相変わらずで。 いつも人の心配ばかり。少しは甘えてくれたっていいのにね。 あのバカ親父とは違って、君はもう赤の他人じゃない。 僕の妹だと、そう思ってるんだから。 「じゃあ僕も寝ようかな。おやすみ。」 「おやすみ。おにいちゃん。」 お互いの部屋に入って。 少ししてから僕はまたリビングに向かった。 バカ親父に、何が何でも聞いておかなければならないことがある。 はいつも笑っている。 僕に心配をかけまいと、弱音もほとんど吐かない。 だけどが一番望んでいることはわかってる。 不安に思っていることもわかってる。 このことばかりは、誤魔化されたりしない。絶対に引かない。 ちゃんと喋ってもらうからな。バカ親父。 Top Next |