いつでもまっすぐで。 自分勝手に暴走しているようにみえて、変なところでお人よし。 何度負かしても決して諦めたりしない。 彼女がアイツに惹かれる理由も、俺は知っている。 Run and Run ― きみと出会って ― 体育祭実行委員になって、熱血な性格の実行委員長からは面倒な指示も多い。 当然、その準備や結果報告のための会議も結構ある。今日の担当分を終えて俺はようやく放課後の部活に参加した。 ちょうどミニゲームをはじめるところだったらしく、俺は指示されたとおり小鉄のマークにつくため奴の前に立つ。 「実行委員って結構面倒なんだなー。すげー疲れたー。」 「じゃあならなければよかっただろ?グチってんなよ男らしくねえ!」 「えーだっていつの間にか推薦されてんだもん。そこで断る方が男じゃなくねえ?」 「やるって言ったからには最後まで文句言わずやれっつーの!」 「何だよ小鉄厳しいなー。いいじゃん友達にグチるくらい。」 「・・・は・・・?」 サラリと言った一言に小鉄がポカンとした表情で絶句した。 あーこれから言うこと想像できて笑える。 「何言ってんだお前!誰が友達だ!」 「え?!違うの?!俺ずっとそう思ってたんだけど!!」 「誰がダチだ!お前は俺の天敵だー!!」 「うっそ!俺小鉄のこと好きなのに!!」 「きっ・・・気色わりいこと言うなーーーー!!」 「おいそこ二人!うるせえぞ!」 確かに茶化してはいるけれど、俺の言ったことは結構本当で。 俺は小鉄が面白い奴だと思ってるし、コイツとの勝負だって楽しんでる。 いつもつっぱしって、玉砕して、でもへこたれることなく挑んでくる。 そんなお前を見てると、何度でも勝負したいって気持ちにもなるし。 まあそれとは別に、コイツをからかうと面白いっていうのも勿論あるんだけど。 「やっぱり面白いな、小鉄!」 「てっめっえっはっ・・・!!そういうところがムカつくっつってんだよ!」 「別にからかったわけじゃないぜ?俺はお前をダチだって思ってるし?」 「誰が!」 「えー本当なのに。そろそろ日生って止めて、もっとダチっぽく呼び方変えてくれてもいいって思ってるのになー。」 「嘘つけ!呼び方なんかにこだわる奴かお前!」 「あはは!何だかんだで俺のことわかってんじゃん!」 「わかってたまるか!」 ちょっとした言葉も全部まともに受け止めて全力で返すから、さらにからかいたくなってしまう。 おかしいな、俺って他の奴らからはいい奴で通ってるのに。 小鉄からはしょっちゅう嫌な奴とか、むかつくとかって言われてる。 でも、そんな自分も本当だと思うし、楽しんでるのも本当。 「ちくしょー!絶対勝ってやるからな日生!!」 ミニゲームそして部活が終わって、無駄に叫びまくってた小鉄は体力もつきたようで 部活が終わった途端にグラウンドに倒れこんだ。俺はベンチからタオルとひとつ取り小鉄の顔の上に落とす。 小鉄は最近、俺との前に姿を現さない。 違うクラスとはいえ、教科書や宿題を忘れてはのところへやってきていた小鉄がだ。 にも聞いてみたけれど、学校以外でもあまり小鉄と話していないと言っていた。それから、様子が変だってことも。 「がお前の様子がおかしいって言ってたぜ?」 「!」 「いつにも増して変だって。ははっ。」 彼女の表情はそれほど変わっていないように見えたけれど、俺にはどこか寂しそうに見えた。 「幼馴染なんだろ?心配かけるなよな。」 「・・・お前はさ。」 「ん?」 「・・・なんでもねえよ。」 「はあ?!何だよ気持ち悪いな!」 小鉄がこんな風になってる原因はわからなくもない。 コイツの俺たちに対する態度と、その時期を考えれば答えは出てくる。 つまりは、小鉄は俺とに嫉妬してるってことだろ。 本当、わかりやすいよなあ。も小鉄も。 なのに何でお互いの気持ちはわからないんだろう。 俺にはこんなにわかるのに。呆れてため息だって出るくらいに伝わっているのに。 「とにかくっ!!お前には負けねえ!!」 「・・・ははっ、あははは!」 そして何の脈絡もなく、いきなり勝利宣言をされた。 勢いでごまかしやがったな。小鉄って何でも勢いでどうにかしようとするよなー。 とのこともそれくらい勢いに任せてみればいいのに。 それはともかく、この言葉はいつもの勝負を指しているわけではなく 数日前に宣言された、体育祭での勝負のことだ。 だから俺は会話を元に戻す意味でも、小鉄の脈絡のない宣言に応えてやる。 「じゃあ俺も張り切ろうかな体育祭。」 元々頑張るつもりだけど、俺も負けず嫌いだし。 何回、どんな勝負だろうが勝ちを譲るつもりはない。 それに、 「格好いいとこ、見せたいし!」 なあ小鉄。俺はお前がいい奴なのは知ってる。 お前は俺を嫌な奴だとか、ライバルだとか言うけれど、一緒にいて楽しいし友達だってそう思ってる。 だけどあんまりボケッとしてると、俺も本気だすぞ。 もう気持ちは走り出しているけれど、制限なんてかけないで彼女のことを好きになる。 お前の望みは、大切な人はもう目の前にいるんだって、そのことにはやく気づけよ。 でないと俺、本気で奪っちまうからな。バカ小鉄。 TOP NEXT |