想い
2006.06.18 〜 2007.02.12
全40話
『想い』ついに完結致しました。
最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました!
皆様の応援の声や、励ましのお声によって最後まで書き上げることができました!
実は勢いで書き始めたこの連載。
初めて書いた連載が『最後の夏に見上げた空は』だったのですが、その連載だけだと
お話に行き詰ってしまったときに小説を書くペースが遅くなってしまう。
他の話も書いてみたらどうだろう。と思い立ち書き始めたのが『想い』です。
初めは20話くらいで収まるだろうと思っていました。
なぜなら短期か中期連載として考えていたものだったからです。
それがあれよあれよという間に最後はなんと40話。倍になっているではないですか!
私の計画性のなさが目に見えるかのようです(^^;)
ひとつ言い訳をさせてもらえば、書いているうちに『簡単にこの話を終わらせたくない』という気持ちが出てきた・・・
というところでしょうか。
渋沢さんに好きな人ができる(付き合う)→ヒロインが失恋→渋沢と友達(ライバル)が別れる→ヒロインが再度想いを強める
→友達が別れを切り出した理由がわかる→ヒロイン二度目の失恋
簡単にあらわしてしまえば、このような図式になります。
図にすれば簡単なことだけれど、実際そんな簡単な問題ではないと思うのです。
それをたった数話で続けていくというのは、どうにも納得がいかなくなってしまい・・・。
まあそんなこんなで話数は多くなってしまったわけですが、無事に完結して本当によかったと思います。
それでは少しだけ、各キャラについて語ってみようかと。
ヒロイン( )
全てにおいて、完璧を誇る女の子・・・と周りには見られていますね。
それもあながち間違いではないほどに、しっかりとしている子です。
たいていのことは何でもこなせますし、周りからの人望も厚い。まさに女版の渋沢さんとも言えるかもしれません。
けれどそれは全て渋沢さんのためであり、彼に認められないと意味なんてなかった。
周りからお似合いだと言われて嬉しいこともあったでしょう。
けれど当の本人には全くその気はなく、それでもいいと思っていました。
しかし渋沢さんに自分以外の大切な人が出来てしまった。それからの『お似合い』という言葉は
何度も彼女を傷つけていきました。
手に入れたかったのは幼馴染の、渋沢さんの心。
いつまででも待つと言った彼女は本当に強くて、それでも何度も不安になっては胸を痛めて。
自分がバカな行動を取っていると思うこともあったでしょう。それでもそれが自分なのだとわかっている子でした。
強い女の子でした。けれど弱い女の子でした。
最後までまっすぐに渋沢さんを想い続けた女の子。
そして、彼とその相手の幸せを願った優しい女の子。
そんな彼女だからこそ、次はきっと想いの叶う幸せを手に入れることでしょう。
渋沢 克朗
鈍感!ひどい!と言うお叱りが聞こえてきそうな渋沢さん。
もうこれは春名の責任です。本当すいません。
渋沢さんにとって、さんは『家族』であり『親友』でした。
きっと誰よりも信頼している人でしょう。けれど恋愛感情は持ったことがありませんでした。
ずっと近くにいた幼馴染だから。近くにいすぎて『女』という括りも飛び越えた存在。
だからこそさんへの気持ちをさんに話しました。誰よりも一番信頼できる人間だったから。
それが結果的にはさんを苦しめる結果となってしまいましたが・・・。
彼はさんと同じように、基本的に何でもできます
けれど、恋愛として人を好きになったことがなかった彼は、あまりにも不器用でした。
さんを好きになったとき、付き合ったとき、別れたとき。
そしてさんに想いを告げられたとき、彼女を傷つけたとき。
どうしていいのか彼自身もわからなかった。それくらい彼は真面目で不器用でした。
さんが大切でした。だから幸せになってほしくて。
さんを傷つけることもありました。けれどそれは不器用な彼の精一杯の優しさでした。
彼は最後までさんを好きになることはありませんでした。
けれど彼にとって、さんがかけがえのない人であることに変わりはありません。
この後の二人は少し、ギクシャクしてしまうかもしれませんが、
それでもきっとさんの明るさに救われ、元の幼馴染に戻っていけるのではないかと思います。
友達( )
この子の気持ち、行動には賛否両論あるかもしれません。
素敵だと思える人に持つ憧れ、尊敬。それはときに羨みや妬みへと変わります。
好きな人と付き合うことができた。それだけで幸せだと思っていた。けれど。
誰からも認めてもらえない。誰もが自分を不釣合いだと罵る。痛めつけられる。
そして、頼るべき相手には本当に素敵な人が側にいる。
こんな状態でも好きな人だけいればいいだなんて、私は思えませんでした。
こんな自分といても、彼を幸せにすることなんて出来ない。そう思っても不思議ではないと思うのです。
そして、この状態から少しでも解放されたいと思うこともあったでしょう。
そうして彼女は渋沢さんに別れを切り出しました。
彼女の弱さは全てを一人で解決しようと思ったこと。
渋沢さんの隣にいるためには、こんなこと一人で解決できなければ、と思い込んでしまったことです。
一人で悩んだことで彼女は追い詰められ、渋沢さんに真実を告げることもなく別れることとなりました。
誰にも迷惑をかけたくなかった。それは素晴らしいことだと思います。
けれど一人で悩むだけでなく誰かに、大切な人に頼る。そして信じる強さもあるのだと、さんに教えられます。
さんを妬んだことも、羨んだこともあるでしょう。
けれどさんは本当に、さんが憧れで、大好きでした。
強さを知り、覚悟を決めた彼女はもう、渋沢さんから離れることはないでしょう。
三上 亮
初めはこんなに話に出てくる存在ではありませんでした。
けれど中々前に進もうとしない二人の背中を押し、
二人を理解する存在として、おおいに活躍してくれました。
今回一番おいしい役どころだったのでは・・・と思うくらいに格好いい場面が多すぎますね。
だから渋沢さんの影が薄くなってしまったのではないかと思うくらいに。
三上さんはさんを支える存在でした。
格好いい彼でしたが、彼の想いはいつだって叶っていないのです。
好きな相手に自分以外の誰かを想う相談など、誰が望むのでしょうか。
けれど三上さんはあえて、それを望みました。
そうすることで、さんの支えでいたかった。形は何でもいいから、さんの側にいたかった。
もちろん、自分がさんを手に入れたいという気持ちもあったのでしょうけれど。
考えてみればみるほどに、さんと一緒の想いを持っていますね。
今回のお話の中で一番強いのは彼でした。
一番正直で、まっすぐでした。
さんも渋沢さんも、彼の言葉と正直さには何度も救われたことでしょう。
きっとこれからも変わらず、さんをいじめつつ愛を告白していくのではないかと。
その結果は・・・皆様のご想像にお任せしたいと思います。
と、こんなところでしょうか。
長々とした文ですみません。ここまで読んでくれた方いるかな(笑)
このお話の結末はハッピーエンド・・・とは言えない終わりですね。
けれど決してバッドエンドだとも言えないと思っています。
想いは叶わなかったけれど、さんは決して不幸ではなかった。
想いが叶わなかったとしても、「好きになってよかった」とそう言える相手を想えたこと。
それは不幸なんかではないとそう思っています。
このお話を読んで、切ないというご感想をよくいただきました。
けれど、結末から少しでも清々しさを感じていただけたなら幸いです。
こんな長々としたあとがきにまで目を通してくださり、ありがとうございました!
それではこの辺で。
2007年2月12日 春名 友
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