「みんな!ちょっと来て!女の子が寝てる・・・!」

「え?!なになにマジで?!ちょっと見せてみろよ!」

「うわ!すっげえ可愛いじゃん!見ろよおい!」

「ちょ、引っ張るな・・・!お、俺は別に見たいなんて・・・」

「あー、帰って早々せからしか奴らやな。」

「女見る前に仕事終わらせろ!お前らの荷物運び終わってねえぞ!」

「まあまあ、皆落ち着け。」





白雪姫が眠ってしまっている間に、本来の住民である小人たちが帰ってきました。
ベッドで寝ている少女の姿にそれぞれ驚きながら、とりあえず彼女を起こしてみることにしました。





「お姉さん、お姉さん。」

「・・・ん・・・」

「起きないとちゅーするぞ!」

「とあっ!起きましたああ!!」





『白雪姫、とあっ!とか言っちゃったけどこれどうなの?』
『もう元気な白雪姫でいいんじゃね?てか今更?』
『お前もうさっきのナレーションで全て諦めたろ。』

静かに目を・・・覚まそうとして大きな声を出してしまった白雪姫。
彼女を取り囲む7人の小人の姿に驚いたのでしょう。

『おお!黒川フォローした!』
『でも、どこまでフォローできるかが問題だよな。』






ちっさ!あ・・・小人さん?」

「ああ、そうだ。ここは俺たちの家なんだが君はどうしたんだ?」

「あ、えっと、道に迷ってしまって・・・ここに泊めてもらえないかな?」

「ほーらやっぱり道に迷ってたんだな!」

「それは俺が言ったんやろアホ。」

「体は大丈夫ですか?何か作りましょうか?」

「ちょっと待った。」





心身ともに疲れ果てた白雪姫に小人たちは親切に接します。
けれどその中の一人が顔をしかめながら、白雪姫をにらみます。





「女一人でこんな森の中まで来るのは変だろ?」

「!」

「何か訳ありだろ。それを聞いてからじゃないと俺は頷けねえ。」

「そ、それは・・・」

「別に先輩が頷かなくてもいいっすよ。ベッドなら俺の貸すし!」

「それじゃ小さすぎるだろ藤代!俺のベッドも貸すよお姉さ・・・あ、名前は?」

「あ、私、。でも別にベッドは・・・」

・・・?」

「なんや、渋沢。」

「どこかで見たことがあると思ったが・・・もしかして君は白雪姫か?」

「「「白雪姫?!」」」





小人の一人は白雪姫のことを知っていたようです。
それもそのはず、この国では彼女を知らない人間の方が少ないのです。
森深くに住んでいるとはいえ、小人の一人が知っていてもおかしくはありません。





「は、お姫様がこんなところに一人でいるなんてますますあやしいな。」

「何があったんだよ。話してみろよ!」

「そうだよ、俺ら助けになるぜ?」





小人たちの優しさに胸打たれ、白雪姫はこれまでのことをポツリポツリと話し始めました。





「親の風上にもおけんやつやな・・・!」

「ひっでー!、逃げてこられてよかったなー!」

「そんなことが・・・大変だったんですね・・・。」

「・・・き、今日はゆっくり休めよ。足りなければ俺のベッドも貸すし・・・。」

「もういっそ、俺らで王と王妃倒しにいけばいいんじゃん?」

「コラ日生、物騒なことを言うな。しかし確かに王妃のしていることは行き過ぎだな・・・。」





優しい小人たちは白雪姫にいつまででもここにいていいと伝えました。





「よし、そういうことだ。いいな、皆!」

「「「いえっさー!!」」」

「三上もいいな?」

「ふん、仕方ねえな。」





先ほどまで白雪姫をにらんでいた小人もようやく認めてくれました。
白雪姫は彼らに感謝をし、何でも手伝うと笑顔で言いました。





「え?じゃあ俺の彼女に、」

「待て待て待て、この男所帯で女に飢えてるのは皆一緒だかんな!」

「お前らくだらんことで言い合いしとるんやなか!」

「カズさんだって彼女欲しいっしょ?!」

「別にそんなもんいらん。」

「キャー!硬派ー!!」





そんな白雪姫に小人たちは・・・何もいらないと・・・は、言わず、笑いながら冗談で返しました。

『黒川頑張ってる!』
『俺何もできないけど応援してるー。』






「・・・おい。」

「何?」

「俺は城で何の不自由もなくぬくぬくと暮らしてるお前らが嫌いだ。」

「・・・。」

「だが、お前の両親はもっとむかつく。だから、守ってやるよ。」

「え?」

「間抜けな顔みせんな。とっとと寝ろバーカ。」





『なんだ三上、今までのキャラの中で一番かっこよくねえ?!』
『言ってるの人形だけどな。』
『あの人たちが自分に似た人形動かしてるってだけで笑えるよな、ぶは!』
『俺、やっぱナレーターでよかったー。』






こうして白雪姫は心優しい小人たちに匿ってもらうことになりました。
けれど王妃の魔の手はまたすぐそこまで伸びてきていたのです。







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