「王子様が后探しに本格的に乗り出したそうよ!
舞踏会の日にお目に止まった娘がいるって話らしいわ!」
「わ、わ、私たちにもチャンスね!」
「なんでもその娘が落としていった靴が、ピッタリの者が后として迎えられるそうよ。
お姫さまになーりーたーいー!」
「・・・。」
「どうなさったの、お母様。」
「・・・私・・・いや、僕は貴方の最後まで真面目にやり通そうとする心意気に感服していたんです。」
「・・・は?」
「男性なのに女性を演じるだなんて、本当に難しいことですからね。」
「あ、あの、お母様?」
「だけど限度というものがあります。
あまりに痛々しくて・・・もうっ・・・貴方を直視できないっ・・・!」
「どういう意味だコラーーー!!」
『あの須釜がギブアップ宣言した・・・』
『間近で見るとよほどひどかったのだろうな。』
『お前もひどい。』
数日後に町に張り出されたお触れは、王子の后探しとして町中がざわめきたちました。
たった一足の靴が足にあえば、それで后となれるのですから、沸き立たないわけがありません。
しかし、そのお触れから数日が経っても、その靴にピタリとあう足の持ち主は現れなかったのです。
そしてついに、シンデレラの家にも王宮の人間がやってきました。
早速義姉たちが靴を・・・
「あ、入らないのは見た目でわかるんで、いいです。」
「なんだとおおお?!」
「・・・まあ、言い返せないよな。」
「この家には後二人、娘がいたはずだ。二人を呼んでいただきたい。」
履く前に却下されてしまったので、次はシンデレラとサンドリヨンの番です。
しかし義姉と継母はそれを必死で止めようとします。
二人は舞踏会へ行っていないとはいえ、靴があうだけで后の座。
そんなチャンスを二人にやるつもりなどなかったからです。
「二人は舞踏会へは行っておりません。試す必要などないかと・・・」
「招待状を送った家の娘はすべてが対象です。それとも命令に逆らうと?」
「ぐっ・・・」
しかし城の者に対し、資産家の娘たちの発言など無に等しく、
しぶしぶと二人の少女を連れてきました。
「残りの娘たちですー。」
「・・・どうせピッタリなわけないわ。ね!」
「そ、そうね、お姉さま・・・」
まずはサンドリヨンが靴を履いてみます。
けれど、その靴は小さすぎてサンドリヨンの足は入りませんでした。
『の靴のサイズ、どんだけ小さいの?』
『いや、は女性の標準だろう。ただ、周りが女装した男ばかりなのだから、
靴が入らないことも道理だ。』
『なるほどね!』
「ほら見なさい!ほほほ!」
「・・・ほ、ほほ・・・」
そして、シンデレラがその靴へ足を入れると・・・
「入った。」
「ピッタリだ。」
「な、な、な、なんでえすうってええええ!!」
「「・・・。」」
『・・・俺、須釜の気持ちわかっちゃった。
ていうか内藤も口にしないだけで、同じことを考えてると思う。』
『何事も限度というものが必要なのだな。』
『しっかり演技してるのにこの言われよう・・・。強く生きろよ!鳴海!』
ガラスの靴を履いていた本人のシンデレラ。
彼女以外にこの靴があうものはいません。
「シンデレラ・・・!」
「どうしようサンドリヨン、私、あの危険な場所に戻らないといけない・・・!」
「危険?!そこ喜ぶとこじゃなかったっけ?!ま、まあいいよ。それなら僕が・・・」
「お待ちください。貴方にはこちらの靴も履いていただきます。」
「は?」
城の使いが差し出したのは、先ほどのガラスの靴よりももっと高価そうな、
高貴な輝きを放つ靴でした。
「あれ・・・それって、サンドリヨンのダイヤの靴・・・」
「バカ!言うなっ・・・」
「なるほど。これを見てすぐダイヤとわかるとは、あながち嘘でもないかもしれませんね。」
シンデレラたちの様子を見て、城の使いはニコリと笑いました。
「王子!お目当ての方が見つかりましたよ!」
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