「どうしよう。まずサンドリヨンを探した方がいいのかな・・・。でも・・・」





シンデレラはサンドリヨンを探すために、周りを見渡しました。
しかしサンドリヨンの姿は見えません。それどころか・・・





「眩しすぎて目が痛い!しかもなぜか周りに見られてる気がするし・・・」





見たこともない豪華な部屋や周りの衣装に慣れるわけもなく、一層緊張が増してしまいます。
こんな中で歩き回るなんて、今のシンデレラには考えられないことでした。





「とりあえず落ち着こう!ていうかこの部屋から出たい!」





まずは気持ちを落ち着かせるために、シンデレラは目に入ったテラスへ向かいました。
ほとんどの者は快適な室内で、舞踏会や会話を楽しんでいます。
寒い夜空の元、テラスに出る者などいないと思っていましたが・・・





「・・・あれ?」





どうやら先客がいたようです。
しかし、その先客はてすりにもたれてどうも気分がよくないように見えます。
そこは心優しいシンデレラ。その人物にかけよります。





「あ、あの・・・大丈夫ですか?」

「ああ、少し人に酔っただけ・・・って、女ー!!」





けれど、シンデレラを見た途端、さらに顔を青くしました。





「・・・あの、私何かしてしまいましたか?」

「あ、いや・・・そういうわけじゃ・・・」





シンデレラの不安な様子に、少し落ち着きを取り戻すと
その人物はようやく体を起こし、顔をあげました。





「ピッ・・・」

「・・・なんだよ。」

「いえ。」

「言えよ、お前今、ピンクって言おうとしただろ?!」

「いいえ。」

「じゃあピッ・・・って言いかけたのはなんだよ!」

「ピ・・・ピリ辛ラーメン!」

「ごまかし方がひどすぎる!!」





・・・そ、その人物は、ピ・・・ピピ・・・ピンクの煌びやかな衣装を身にまとっている青年でした。
すごく似合ってるぞかず・・・違った似合ってます王子。



『ここまで順調に読めていたのに、どうしたのだ若菜は。』

『ピンクの王子様に我慢しきれなくなっちゃったんだろ。』

もアドリブを抑えていたのに。』

『やっぱりピンクの王子様がいけないんだな。』





「・・・だけどお前、驚かないんだな。」

「何が?ピンクの衣装に?」

「ちげえよ!俺が・・・いや、いい。お前は他の女たちとは違うんだな。」

「そりゃあ、会場にいるごつごつの方々と一緒にしないでいただきたいですわ。」

「・・・ごつごつ・・・」

「え?また具合が悪くなったんですか?ごつごつって言葉で?!」

「・・・そのごつごつの女どもに囲まれてみろ。軽くトラウマになるから。」

「うわー・・・。」





『・・・そういえば舞踏会場の女役は、女装したメンバーだったか。』

『なぜか大型の奴らが多かったよな。俺はもう直視しないようにしてたけど。





「それならここで休んでいてください。私もお邪魔ならすぐに・・・」

「・・・いや、いい。お前も理由があって、部屋から出てきたんだろ。」

「・・・ちょっと、あの雰囲気に慣れなくて。
さっきまでは双子の姉が傍にいたんですけど、はぐれてしまって・・・。まずは落ち着きたいな、と。」

「・・・ふーん。そうか。」





涼むには少し寒いテラスでしたが、青年とシンデレラはお互いに何かを感じ取ったようで、
どちらからともなく、ぽつりぽつりと話し始めます。
シンデレラも周りの資産家や貴族特有の空気が感じられない彼に、少しずつ安心していくのでした。





「王子、そろそろお部屋に戻っていただかないと。お体に触ります。」

「・・・あ、ああ。わかった。」

「そうですよね。ここ、寒いですもんね。時間を忘れてお話しちゃった・・・って王子?!」





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