「サンドリヨン・・・!サンドリヨーン!」





心細くなったシンデレラは、舞踏会を楽しむよりもサンドリヨンを探すことにしました。
けれど多くの人の中、なかなかサンドリヨンを見つけることはできません。





「おい、そこの女。」

「は、はい?」

「こんなところまで来て、迷子か?」

「ま、迷子じゃないです!むしろあっちが・・・」

「迷ってる奴は大体そういう言い訳すんだよ。」





貴族や王族、または多額の寄付をしている資産家などしかいないはずの舞踏会。
セレブの集まりと言っても過言ではないその舞踏会には、似つかわしくない口調。
けれどかたくるしくないその口調は、逆にシンデレラを安心させました。





「俺が手伝ってやろうか?」

「い、いえ。私一人で探せますから・・・!」

「断るなんていい度胸だな、この俺に向かって。」

「だ、誰だか知りませんけど、断るくらい自由に・・・」





その男と言い合っているうちに、ふとたくさんの視線が自分に向けられていることに気づきます。
それも好意的とはいえない・・・まさに敵意の視線。
いきなり自分がそんな視線を向けられるとは予想もせず、シンデレラは疑問の表情を浮かべます。





「虫除けに丁度いい。お前に決めた。」

「む、虫除け・・・?!」





そういえば、今回の舞踏会の目的はなんだったかとシンデレラは思考をめぐらせます。
そう、王子の后探し。つまり、この会場にいる男性は何者かが限られてきます。





「おい、コイツにするぞ!」

「王子・・・せっかく私が選んできた女性たちは無視ですか?」

「お前が選んできたのは女性とは言わねえよ!」

「王子が適当な女性を見繕ってこいというから、頑張ったのに・・・」

「適当な女だよ!いくら男ばっかりでの配役ったって、もっと女装が似合う奴を連れてこいよ!
誰がゴリラ連れてこいって言った?!

「女性を差別するだなんて最低ですね、王子。」

「あーもういい!お前とは話したくねえ!!」





突然現れたもう一人の男性。
彼が口にした単語に、シンデレラは言葉も出ません。





「・・・王子?」

「はっ、自分の国の王子の顔も知らねえのか?」

「昔なら見たことがありましたけど・・・最近はそんな暇なくって・・・」

「それなら存分に見ておくといい。滅多にねえぞ、こんな機会。」





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『今回は滞りなく進んだな。』

『アドリブに懲りたと、根が真面目な三上だからだと思う。』