「どっから降ってくるんだよお前は!」

「舞台揺らすとかどれだけ大掛かり?!」

「あー、びびった・・・」

「・・・っ・・・げほっ、ごほごほ!」

「ほら見ろ、上は・・・ねずみがびっくりしてむせたよ!」





・・・え、えーと、突然上から降ってきたのは、彼らの怒声などまったく気にせず
ニッコリと笑顔を浮かべる少年でした。





「みんな驚いた?驚いたんだ?!大成功!やったよヨンサ!」

「・・・ま、まあいいや。さっき魔法使いだって言ったよな?」

「そうだよー!僕は魔法使いです!そこの可愛い女の子たちの願いを叶えてあげるよ!」

「あ、そう。よかった。それじゃあ俺たちはこの辺で一旦はけるわ。」

「い、伊賀・・・じゃなかったねずみさん!いて!ここにいて!」





『シンデレラが頼りにするのは魔法使いではなかったか?設定が変わっているぞ。』

『さっきまでが頼りになりすぎたな、ねずみ。逆に魔法使いは底が知れないから怖いと。』





空・・・いや、天井?とにかく降ってきた少年は、自分を魔法使いだと名乗りました。
なんでも願いを叶えるとの言葉に喜ぶシンデレラたちでしたが、突然現れた魔法使いに疑問も持ちます。





「・・・なんでいきなり僕らの願いを叶えてくれるの?」

「だって、君ら、ランプを掃除してくれたじゃない。」

「・・・はあ?!」

「ランプを大切にしたら願い事が叶うって言われてなかった?」

「じゃあ何で掃除したときとか・・・光を当てたときとかに出てこなかったわけ?!」

「僕どうやって登場しようかって相談してたんだよね。
どうせなら、たくさんの人を驚かせたいでしょ?」

「・・・。」

「掃除のときはタイミングの問題で止められて・・・
さっきは上ってる最中だったから出れなかったんだよ。」





『なんてマイペースな奴ー』

『ひとつも台本どおりでないな、まったく。』





・・・なんか、もう・・・ツッコミが足りない!!





「・・・まあ、でも俺たちの友達である二人の願いを叶えてくれるなら大歓迎だよ。
さあシンデレラ、サンドリヨン。楽しみにしていた舞踏会へ行ってこいよ。」

「ねずみさんっ・・・!貴方って人は・・・!」

「ちょっと待って。願いを叶えてくれるっていうならもっと「魔法使い。はやく二人を舞踏会へ連れていってやってくれ。」」

「わかった。いいよ〜!」





伊賀っ・・・!いや、ねずみ・・・!ねずみさん最高っす!



『若菜、感動はいいけどマイクマイク。』

『伊賀は話を元に戻すにはうってつけの奴らしいな。』

『同じねずみの上原が相変わらず空気だけど。』





「よーし、それじゃあいくよ!可愛いお姫様になーれっ!」

「ちょっとその呪文止めてほし「二人が綺麗になるのが楽しみだなー」」





魔法使いが杖を一振りすると、二人の少女が光に包まれました。
ボロボロだった服はみるみるうちに煌びやかで豪華なドレスへと姿を変えます。





「あとはー、かぼちゃとねずみが必要だね。あ、ねずみは目の前にいるから、あとはかぼちゃね!」





魔法使いの言われたとおりに、かぼちゃともともといたねずみがそこに集まると
笑顔を浮かべ、さらに杖を一振りしました。





「それじゃあまずは、そのかぼちゃを馬車に。」

「おおー!」





魔法使いの言葉どおり、かぼちゃは可愛らしい馬車に、





「馬車を引くには馬が必要だよね。ねずみくんたち、なってくれる?」

「もちろん。シンデレラたちのためなら。」

「ねずみさんっ・・・!」

「シンデレラ。さっきからねずみに懐きすぎ。」

「だって今一番頼りになるのねずみさんよ?!
正直舞踏会に行くよりもねずみさんエンドでもいいと思うくら「魔法使い。俺らを馬に変えてくれ。」」





ねずみっさーんっ!!!





『自分が主役になるチャンスさえ潰して、話の流れを優先するとは。他の奴らとはえらい違いだな。』

『・・・シンデレラ以上に若菜がねずみ応援団になってるけど。』





ねずみさんの大活躍で、シンデレラとサンドリヨンは舞踏会に似合う綺麗なドレスを身に着けることができました。
さらにかぼちゃの馬車、とても素敵な馬を手に入れ、舞踏会に向かいます。





「ねずみの大活躍?!」

「えー!僕の活躍じゃないの?!」

「いいよ。いいんだよ。ねずみさん素敵でした!」









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