汝は人狼なりや?  



【8日目朝】
GM「今朝、山口が無残な姿で発見されました。話し合いをスタートしてください。」


(噛)渋沢、黒川、鳴海、須釜、伊賀、山口
(吊)上原、設楽、藤代、真田、横山、郭


三上「山口?」

若菜「なんで驚いてんだ?」

三上「山口は残ると思ってたけど……まあいい。それよりも今日が最後だな。」

若菜「おうよ!ラストバトルな!」

桜庭「本当ポジティブだよな若菜。俺は頭も胃も痛くなってきたぜ……。」

若菜「お前ちょっと一馬みたくなってきたな桜庭。」

桜庭「それは、けなされてんの?」

若菜「心配してんの!」

椎名「さてと、対象を絞るためにも初めに聞いておきたいことがあるよ。狩人COはある?」

桜庭「昨日狩人COは止めてたよな?今日なら良いのか?」

三上「いいんじゃねえ?もう防衛の必要は無いし、ここまで来て狐や狼が、疑われることがわかってて狩人を騙るメリットもねえだろうし。でもさすがに残ってはねえんじゃ……」

若菜「ハイ!」

椎名「は?」

若菜「俺!!狩人!!やっと言えたー!!」

桜庭「若菜!?」

三上「お前かよ。」

椎名「まあ、狩人のことにちょこちょこ口を出してた感はあるけどね。」

桜庭「って、信じていいのか!?騙りの可能性があるんじゃ……」

三上「さっきも言ったけど、占い二人に白を出されて、すでに疑われにくい状況にある若菜がわざわざCOする必要はねえだろ。ほぼ真狩人とみて良いと思うぜ。」

椎名「若菜、狩人日誌は?」

若菜「オッケー。2日目が伊賀、3日目も伊賀、4日目が一馬、5日目が椎名、6日目が三上で、昨日が桜庭!2、3日目の伊賀守りは単純に共有だから。4日目は今まで伊賀に来ないから、あの時点で真占いかなって思ってた一馬。5日、6日も伊賀からは離れて、ちょっと勘も含めてだけど、狙われそうな奴を選んだ。昨日は消去法。椎名が狼でもそうじゃなくてもさすがに噛まれないだろうし、三上は6日目に防衛成功してたとしたら警戒されてる。山口くんは妙に狐を気にしてたから何かあると思って、で、無難に桜庭。」

三上「死人が出なかったのが6日目か。ってことはこれは防衛成功か?」

椎名「郭が狐だった可能性もあるから、一概には言えないよ。」

三上「……3日目は伊賀か。ここも防衛成功してた可能性もあるな。」

桜庭「でも死体が無かったのって6日目だけ……って、もしかして、鳴海は呪殺だったって思ってるのか?」

若菜「え、マジ?そしたら俺2回も防衛してることになるじゃん。すごくね?」

椎名「そうだとしたら、あの日、三上を占ってた横山は、偽占いの可能性が大きくなるね。」

三上「まあ……その可能性も疑ってはいたけど。少し事情が変わった。」

桜庭「事情?」

三上「山口が噛まれたことだ。」

若菜「山口くんはちょっと怪しかったよなー。妙に狐を気にしてたし、横山が真だってすげえ推してたし。」

三上「まあな。ここに残ってれば、COでもない限り、疑いの対象にはしてたつもりだ。ただ、あんまりブレねえから、逆に村なんだろうって気もしてたけど。」

桜庭「山口さんが噛まれたことが、何か関係してるのか?」

三上「俺は正直、椎名に特別大きな疑いを向けてなかった。昨日も言ったとおり、占い結果は真田の白、横山の黒でイーブンだったからだ。そして椎名が白だとすれば、やっかいなことになるとも思ってた。」

若菜「どういうこと?」

三上「山口は横山を真占いだと思いこんでた。昨日は狐が残っている可能性を考えて、郭吊りに積極的だったが、今日椎名に投票することは明らかだった。つまり山口を残しておけば、狼自身と山口の2票、半分の票はほぼ確実だったんだよ。なのに、わざわざ山口を噛みにいくか?」

椎名「確実かどうかなんてわからないよ。話し合いの中で矛盾点を出していけば、いくらだって意見は変わるはずだ。」

三上「昨日までのアイツを見てれば、限られた時間の中で意見を変えさせるのはかなり骨の折れることだって、誰だってわかるだろ。保護者心だかなんだかしらねえが、横山を信じすぎ。」

若菜「そういうまっすぐなところが山口くんの良いところなわけよ!」

三上「だからそういうまっすぐな奴は、このゲーム向いてねえっつの。」

桜庭「えっと、つまり、山口さんが噛まれたから……椎名に疑いを向けたってこと、か?」

三上「そうなるな。」

椎名「ちょっと待ってよ。そう考えさせることが目的で、わざと山口を噛みにいったのかもしれない。」

三上「そこまでするメリットが浮かばねえんだよ。山口を残しておけば何もしなくたって引き分け以上に持っていけるのに、わざわざそんな賭けするか?俺だったらしないね。」

椎名「山口が狩人だと思って噛んだのかもしれない。いや、それどころか今三上が言った考えまで頭がまわってなかった可能性だってある。いくらだって考えられるんだよ。決めつけて誤った選択はしないでほしいね。」

三上「だから確定じゃねえって。お前への疑いが大きくなってるだけ。つーか、そこまで頭がまわらないって…………ないだろ。おそらく。」

桜庭「すごい間が空いたんだけど。」

若菜「俺ら馬鹿にされてねえ?」

三上「俺ら、じゃねえよ。」

若菜「へ?」

三上「対象は限られてる。」

桜庭「だって三上と椎名以外だろ?残りは若菜と俺じゃ……」

三上「さすがに察したか。若菜が狩人だとすれば、残りは一人だ。」

桜庭「ぐっ……まじか……」

若菜「俺外れた?外れた?よっしゃー!」

桜庭「ちょっと待てって!そう言ってる三上だって、結構場を仕切ってるし、狼だったらすげえ怖……」

三上「そっちも気づいたか?6日目が狩人防衛だとしたら、俺は狼に狙われたことになる。少なくとも狼ではない。まあ、狐噛みの可能性も残ってるけど、それよりもお前らの方がよっぽど疑わしいだろ。」

椎名「その考えには同意。ただ、僕は狼じゃない。つまり、狼はお前だ。桜庭。」

桜庭「え、ちょ、ち、違うし!!お前、自分が疑われてるからって、俺に押し付けてくるなよ!」

椎名「別に疑われようが、疑われなかろうが、お前しかないと思うけどね。」

桜庭「なんで!」

椎名「正直、今日の朝時点では決めかねてたけど。でも、山口は噛まれ、若菜が真狩人だっていうなら、6日目に防衛されていた三上もおそらく白。となると、残るは一人だよね?」

桜庭「その台詞、そっくりそのまま返すわ!俺からすれば、残ってるのはお前なんだよ、椎名!」

椎名「はじめから随分口数が少なかったよね。上原の黒、そしてその後の藤代からの白が無ければ、真っ先に寡黙吊りされてたと思うよ?」

桜庭「それは、このゲーム慣れてねえし、様子見ないとわかんないことだって……」

椎名「そうかもね。でも思い返してみれば、随分と守られてない?藤代に。」

桜庭「は?」

椎名「二日目は上原の黒が出て、さらに郭の複数COもあったから、満場一致で上原が吊られた。けど、もし三日目に藤代がお前に白を出さなかったらどうなったと思う?グレランの対象になった結果、おそらく高確率でお前が寡黙吊りされてたと思うよ。それを避けるために、あえて藤代が桜庭に白を出したんじゃない?」

若菜「つまり、藤代と桜庭がつながってた……ってことか?」

椎名「そういうこと。そもそも藤代の信頼性は低かったけど、偽占いでも占い結果に桜庭を含めれば、グレランからは外される。桜庭の役目が潜伏狼だったとしたら、いきなり吊られたら意味がなかった。多少のラインは残しても、そうやって守るしかなかった。ただし、その考えは藤代が考えたものじゃない。もう一人、冷静なブレインが必要になるね。」

三上「……郭か。」

椎名「ああ。藤代、郭、桜庭はラインがつながってるんだよ。郭はそれを偶然の一致の可能性もあるって、否定し続けてたけど。おそらく藤代が全面的に信用される可能性は少ないと踏んでたから、その防衛策だったんだろう。本当は狼3人ともラインをつなげるのは危険なんだろうけど、仲間が藤代と桜庭だとしたら、多少のリスクは覚悟したうえで、わかりやすい方法を取らざるをえなかったってところかな。」

若菜「え、じゃあ横山は?」

椎名「狂人だろうね。狐はおそらく鳴海。死因は真田による呪殺だと思う。狼は若菜が守りにいった伊賀を噛んだんだ。だから死体はひとつだった。」

三上「ちょっと待て。横山が狂人だとしたら、お前に黒を出すタイミングがおかしくねえか?お前が潜伏狼だったら身内を潰すことになるんだぞ。」

椎名「そうかな。僕は横山の黒が無ければ、それほど疑われてなかったと思うけど。横山が僕をほぼ白だと思っていたなら、ローラーで吊られる前に、よくしゃべってた僕を潰すように動くのは不自然じゃないよ。」

桜庭「お前、昨日狐が残ってる可能性が云々言ってたじゃん!けど、今の説明だと狐はいないって思ってたんだろ?言ってることが矛盾してるぞ!」

椎名「可能性の話で確信じゃないよ。それに昨日の時点で、狐がいないなんて言ったら、吊られるのは僕だ。それで村が負けることになるとわかってるのに、自分が不利になることを話すと思う?」

桜庭「くっ……俺はお前とは正反対だ!藤代は真じゃないにしろ、偶然に上原の黒は当てた。だからこそ、霊能が2人いたんだろ?」

椎名「騒ぎに乗じて郭が霊能を乗っ取ろうとしただけだよ。」

桜庭「本当にそうか?上原はあんなに動揺してたのに?郭は自分が真霊能だったからこそ、あんなに冷静だったんじゃないか?」

椎名「郭ならそれくらいの機転はきくと思うけど。」

桜庭「そ、それに、ここまで一番信じられてきた占いは横山だろ?その横山が椎名に黒を出してる。真田は白だったけど、それこそお前がさっきから言ってるラインって奴じゃねえかよ!」

椎名「その1点だけ言われてもね。だったら白を出された皆、すべてラインがつながってることになる。僕はこれまでの経緯を踏まえて根拠をもってラインの話をしてる。その理由もね。」

桜庭「……ぐっ……」

三上「お前の負けだな、桜庭。」

若菜「椎名と口喧嘩とか無謀だもんなー。」

三上「ただ、それを見越したうえで、山口を噛んだとしたら話は別だ。」

椎名「またそこに戻るわけ?単純に噛むのを間違えたとか、そこまで頭がまわらなかったって話だろうって言ったと思うけど。」

三上「さすがにそこまでアホじゃないと思うぜ。」

若菜「でも、桜庭一人残されててんぱってたかもしんなくね?」

三上「こんなもん、単純計算だろ。何もしなくても引き分け以上。俺を噛んで若菜でも残せば、勝ちの可能性はその分あがったはず。説得要員には山口もいたわけだしな。わざわざ椎名と1対1になるような状況を作るか?」

若菜「……それは、まあ、そうか。」

三上「桜庭は椎名を打ち負かして、俺らを味方にできるっていう自信が持てる奴か?」

若菜「ではないですね!」

桜庭「……お前らさあ……」

椎名「ちょっと。桜庭の気の弱さを理由に判断を見誤るなよ!」

三上「真田が真でも、横山が真でも、割と話が通るのがやっかいなんだよな。」

若菜「俺は一馬が真であってほしいけどなー!」

椎名「だからそうだって言ってるだろ。」

桜庭「いや、俺は横山だと思う!そもそも若菜だって、三上だって、横山から白出されてるだろ!」

三上「それだけで信じられるほど単純だったらいいんですけどねえ。」

若菜「うーん。」

桜庭「椎名ははじめからさりげなく場を仕切って、俺たちを誘導してる。特に俺なんかはこのゲームに慣れてないし、そういうのに流されやすかった。だから、椎名を打ち負かすことはできなかったけど……でも、椎名だったらここまで予想できてたはずだ!」

若菜「……確かに。」

桜庭「そうやって場を操って、たとえ占いで黒が出たってこうして最終日まで残ってる。俺を負かすことで説得力を持たせようとしてる。前に言ってたよな。役職を騙って周りを納得させられる自信があるって。今がその状況なんじゃないのかよ!」

椎名「最後まであがくね。桜庭が疑われてるのは自分の行動のせいだろ。」

三上「まあでも一理あるぜ。やっぱり俺はどうも引っかかる。最終的にお前の思い通りになってるしな。」

若菜「でも椎名だったら、三上あたりが怪しむって予想つきそうなもんだけど。なんで山口くん以外を噛まなかったんだ?」

三上「山口も桜庭も昨日時点で椎名を黒とみてる。桜庭を噛んで山口を残すと、俺はともかく若菜は山口寄りになりそうな空気があったからな。もしそうなれば引き分け以上には持っていきづらい。」

若菜「ほうほう、なるほど!」

三上「とは言っても、桜庭があやしいのも変わりないんだけど。」

桜庭「ぐっ……」

椎名「冷静に考えなよ。お前はそれほどバカじゃないと思ってたけど。」

三上「冷静に考えたうえでだよ。ひっかかってることをどう判断するかってところだ。お前も喰えない奴なのはわかってるからな。」

若菜「うわーどうしよう!どっち選んでも恨むなよー!!」



GM「話し合いそこまで。投票をはじめてください。」


三上 → 椎名
若菜 → 椎名
椎名 → 桜庭
桜庭 → 椎名

椎名(3)、桜庭(1)


GM「ゲーム終了。勝者は……」


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