「なあなあ、ヤンデレってどう思う?」

「ヤンデレってなんだっけ?」

「デレは確か、デレるってことだろ?そしたらヤン・・・ヤン・・・」

「ヤンキー?」

「あー!普段つっぱって強そうな子がどきまぎして女の子らしくなったら破壊力すごそうだよな!」

「そう?何を考えてるかわからなくて面倒そうな気がするけど。」

「いや、それがわかっちゃうんだって。まっすぐで嘘がつけないから、一度心を許すとすごく素直なの。ただし、口は悪い。」

「ああ、ツンデレとは少し違うわけか。」

「え、え、英士が・・・!英士がツンデレを語った・・・!」

うるさい。」

「え?ツンデレって有名な言葉じゃねえの?」

「ほら、が普段からツンデレツンデレがって言ってるから、一馬が毒されてるよ。」

「あら、良いことじゃないですか!」

「普段、俺たち以外との会話でも使い始めたら面白いけどね。・・・ああ、有名な言葉ってことにしておけばよかった。」

「え、ちょ、どういうことだよ!」

「ツンデレは有名な言葉です。」

「普段使いしててもまったく問題のない言葉です。」

「絶対嘘だろオイ!!」

「ちょっと!お前ら思いっきりずれてるんだけど!!ヤンデレも意味が違ーう!!特には知ってて遊んでんだろ!」









「違うんだって、英士。」

「じゃあ何?やんちゃ?」

「やんちゃデレ・・・って何だ?」

「基本デレデレなんだけど、とにかくやんちゃ。愛情表現が小学生のいたずらのようだったり、走り回りながらだったり、遊びながらだったりする。」

「・・・なんかそれも面倒じゃないか?」

「えー可愛いじゃん。とにかく明るくなるだろうし、なんでも笑顔で楽しむタイプだし、何より好きって気持ちがわかりやすいじゃん。」

「それヤンデレっていうよりも、愛情表現が大げさか、ただの小学生なんじゃないの。」

「犯罪じゃねえか!」

「いやいや、俺ら中学生だからセーフでしょ。」

「え、ってそういう趣味?」

「趣味ってことはないけど、愛に年齢は関係ないよねってタイプ。」

「よく言う。」

「そういう英士は?」

「子供に興味はないね。」

「一馬は?」

「は・・・?だって小学生だろ?そんな風に考えることねえよ。」

「でも今は大人顔負けの小学生もいるって噂だわよ?そもそも年齢だって対して違わないし。」

「それは俺もテレビで見たことあるけど・・・確かに見た目は・・・いや、でも・・・えっと・・・」

「よし、一馬は小学生もありと。」

「ねえよ!何勝手に解釈してんだよ!」

「結人は聞くまでもない。」

「なんで!?聞こうぜせめて一言は聞こうぜ!?」









「だから違うんだってば!」

「何が?」

「結人は年上趣味ってこと?」

「え!そうなのか?!」

「もーやだお前ら・・・!!」

「泣くなよ。ちゃんと聞くからさ。」

「うざいもんね。」

「一言余計!!」

「で、結局なんなんだ?」

「さっきから言ってるヤンデレ!!ヤンは病んでるって意味です!」

「あ、そっち。」

「もう割とどうでもいいんだけどね。」

「病んでるってどういうことだ?病気なのか?」

「そう。ヤンデレにはすごく切なくて悲しい意味がこめられてて、おいそれと使って良い言葉じゃ」

「おいいいい!さっきから何なの?!俺の話を邪魔する同盟でもあんの?!」

「ないよねー英士。」

「ね。」

「ただ、暇だったから。」

「うん。」

「暇なら俺の話を聞けよ!!」









「でもヤンデレかー。ヤンデレねー。いろんな捉え方があるから、簡単には語れないよなー。」

「実際どういうことなの。」

「相手のことが好きすぎて病んでるって思われるような行動をしちゃうんだよ。他の女の子と話してるだけでヒステリーとか起こすとか。相手にも周りにも自分にも暴力的になるとか。」

「ああ、束縛系。」

「そんな生易しいもんじゃないんだって!下手すると刃傷沙汰までいったりすんだぞ!好きすぎて私だけのものに・・・!みたいな!」

「怖っ。」

「いや、俺は俺のものなので。」

「ぶはっ!確かに!」

「とは言ってもだな、ナイフもって襲ってきたらどうすんだよ!」

「返り討ち。」

「英士ならやるね。」

「うん。」

「うん。」

「そこで納得しないでよ。」



「結人だったら?」

「やられるね。」

「うん。」

「うん。」

「全会一致はやめろ。」



「一馬は?」

「一馬の涙を見た彼女が直前でやめるパターン。」

「やだ!感動的!!」

「そのまま閉じ込められて終わりそうだから、ハッピーエンドではないだろうけど。」

「え?俺どうなるの?」



は?」

「説得しそう。」

「わかる。」

「いや、待て待て!いくらでもナイフを持った思い込み激しい相手に対して、まともな話し合いなんてできないだろ!?」

「英士の返り討ちはまず使うよな。」

「一馬の泣き技も使うよね。」

「泣き技ってなんだよ!」

「プラス、の口八丁手八丁。無駄な女心掌握力。なんとかなるんじゃない?」

「ははー褒めるなよー!」

「褒めてはないけどね。」

「こういうポジティブさを見習いたいわ俺。」

「・・・俺は?」

「え、だから結人はやられるよねって。」

「俺の技は?!俺の技は使わないのかよ!!そもそも俺はやられるだけって簡単すぎねえ?もう少しドラマがあってもいんじゃないの!?」

「そっち!?」









「で、なんでヤンデレの話がはじまったんだっけ?」

「昨日、たまたま見たアニメのヒロインがヤンデレですげー怖かったんだよ。」

「でも、俺らにその怖さの同意を求めても、わからないよね。見てないし。」

「うん。だからヤンデレについて、みんなで語ったら怖さが和らぐかなって。」

「和らいだ?」

「傷ついた。」

「おおう・・・。」









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