恋愛研究人











「つっかれたー!」

「今日の練習はいつにも増して厳しかったよな〜!」

「だなー。とっとと家帰って寝よーっと。」





本日の練習を終え、帰路につく。
いつもよりも厳しく感じられた練習で、俺も周りを歩く奴らも笑いながらも疲れた様子を見せていた。





「ふーんふーんふふーんー」





そんな集団の中で鼻唄まじりで一人、異様に元気な奴が視界に入る。
大きなバッグを背負いながらも、機嫌よさそうにその場でくるくると回っている。
茶髪にパーマのかかった後ろ姿。それが誰なのかは一目瞭然だ。






「いつもだったら真っ先に疲れた疲れたって言ってるのにな。」

「だよな。なんかいいことあったのかな。」

「え?何?俺のこと?聞きたい?聞きたいか?」





隣にいた上原にぼそっと呟いただけなのに、すごい速さで若菜が食いついてきた。
絶対コイツすごいいいことあったんだ。





「聞きたいの?しょうがねえなー。うん、じゃあ聞かせてやるよ!」





まあ何があったのかな、とは思ったけど。
疲れているときにこのテンションはちょっとつらい。
と、思ったことは伏せておこう。空気を読んでおこう。
空気を読むどころか吹き飛ばすどこかの誰かたちと俺は違うのだ。





「見てよこれ!」

「腕・・・?何だ・・・って、ああ、リストバンド?」

「そう!リストバンド!」

「それがどうかした?」

「えー、わっかんねえの?ホラ!」

「ん?別にどっかの有名メーカーって訳でもないよな・・・?」

「そういうんじゃなくて、何か見えない?」

「何か?」





目の前に突き出されたリストバンドを凝視して、何か普通と違うのかと探してみる。
上原にも問いかけるように視線を向けてみたけれど、やっぱりわからないみたいだ。





「わかんねー。答え教えてくれよ、若菜。」

「もー、わっかんねえの?見えないの?この愛が!」

「・・・は?」

「ふは、はは、ははははー!」





若菜のテンションが高すぎて会話にならない。
こういうときはどうしたらいいんだろうか。
とか郭とかの若菜の扱いは・・・参考にならない。というかできない。
と、なると・・・

俺たちは先ほどまで若菜と一緒に話していたくせに、
さりげなくこちらから離れようとしていた真田に視線を送った。
真田は何かを少し考えてから、ため息をついてこちらにやってきた。
その時一体何を考えて、どんなため息をついたのか、俺にはなんとなくわかってしまうのが悲しいところだ。





「・・・彼女にもらったんだって。」

「あ、一馬!言っちゃった!まあいいか!そう、見てくれよちょーかっこいいっしょ!」

「・・・あー。」

「・・・それはよかったな。」





だから愛とか言ってたのか。
・・・て、わかるかよ!





「もう俺、愛されちゃって参るぜ!いや、参りはしないか!俺も愛してるから!」

「「「・・・。」」」





若菜が彼女にべた惚れだっていうことは有名だけど、
どうしよう、返す言葉が見つからない。
いや、心の中には一言浮かんでいるんだけど、それを言葉にしていいものか。
こういうときこそや郭の出番なのに・・・!何でお前らいないんだよ。
もー!本当に空気読まない奴らだな!





「お前らも恋しろよ!めちゃめちゃ楽しいから!あ、上原は彼女いるんだっけ?
じゃあ桜庭と一馬な!好きな子とかいたら協力してやるから!うはは!」

「・・・ふむ。」





もうコイツは真田に任せて、俺らはさりげなく退散しようと思ったとき、
横から一言、低い声が聞こえた。





「若菜、お前は恋というものが何かわかるのだな。」

「おう!任せてよ!・・・って、不破?!」





そこには全く予想もしていなかった人物がいた。
しかも今なんて言った?!










「恋とは何なのだ?」










表情ひとつ変えずにじっと俺たちを見つめる不破に、俺も上原も真田も、
さっきまで一人ではしゃいでいた若菜さえも、ポカンとした間抜けな表情のままその場に立ち尽くしていた。











「なんだー?不破も恋に目覚めちゃったのか?うんうん、恋っていいよな〜!」

「その恋というものが俺にはいまいち理解できないのだが。」

「何が?」

「辞書にある『好きだから』や『深く思いを寄せる』など表現が抽象的すぎる。
それが一体どういう感情なのか、俺には理解ができん。」

「ちゅうしょうてき・・・」





機嫌のいい若菜は、不破がなぜいきなりそんなことを聞いてきたのかはどうでもいいらしい。
自慢げに不破に「恋」について話そうとするけれど、当然、不破が一筋縄でいくわけがないのだ。
ていうか、簡単に納得することなら自分で調べるだろうしな。





「だ、だからさ、ああこの子好きだなあ〜と思うわけよ!」

「では『好き』とはどういう感情だ?」

「どういうって・・・いや、ほら、何してても可愛いなあって思ったりとか・・・
ちょっと上原!お前も彼女いるんだから協力しろよー!」

「ええ?!俺?!」





あ、もう上原が巻き込まれた。
確かに若菜一人で不破に説明なんてできないよな・・・。





「上原はどういうときに彼女のこと好きって思うんだよ?」

「え、あ、まあそうだな・・・一緒にいて楽しいと思うときとか?」

「そう、一緒にいて楽しいの!わかるか不破!」

「でもそれって恋の説明になんのか?友達にも当てはまるんだけど・・・」

「そっか・・・!うーんと、じゃあ・・・一緒にいると安心するってのは?!」

「それも友達に当てはまるな・・・。」





そもそも友情と恋愛の境界線なんて、うまいこと説明できる奴なんているのだろうか。
しかし若菜も後に引けないらしい。そりゃああれだけ恋愛は任せろみたいに言ってたらなあ。アホだなあ。
あ、隣で真田も俺と同じこと思ってそうな顔。コイツもいつも大変なんだろうな。





「じゃあキスしたくなるとか・・・」

「不破にそう言って通じると思うか?」

「もー!じゃあどうすりゃいいんだ?」

「初心に戻って・・・いつも相手のことを考えちゃうとかは?」

「お!」

「いつも相手のことを・・・?」

「そうそう、目の前にいなくてもアイツ今何してるのかなーとか、
会いたいなーとか自然と思っちゃうんだよ。」

「・・・ふむ。」





それが恋と言っていいのかは別として、不破もその意見には何か思うところがあったようだ。
必死で絞りだした答えに、若菜と上原はこれでどうだといった表情で不破を見つめる。





「どうしたんだよ不破、気になる子でも出来たのか?」

「不破からそういう話聞くことってないもんなー。ちょっとドキドキする!」

「・・・目の前にいなくとも、アイツはどうしているかと考えることはある。」

「それ!それ恋だよ不破!!」

「やべ!楽しくなってきた!」

「はじめから理解できない奴だと思っていた。」

「ほうほう!」

「考えても考えても、疑問を増やしこそすれ結論にたどり着かない。」

「ふんふん。」

「こんなに長くひとつのことに執着したのも初めてだ。」

「キャー!」

「・・・そうか。」









「俺は風祭に恋をしていたのか。」










「「「「・・・・・・。」」」」

「ふむ、これが恋か。」





俺たちはまた一瞬かたまってから、すぐに我に返り一斉に叫んだ。





「「「「不破ーーー!!」」」」

「む?」

「違うー!たぶんそれ違う!!」

「お、落ち着け?とりあえず落ち着いて考えた方がいい!」

「俺は落ち着いているぞ。むしろ落ち着きがないのはお前ら・・・」

「うん、俺らも落ち着くから!落ち着くから一緒に話そう!まだ結論を出すには早い!!」

「そうなのか。」

「そうなの!!」





4人で必死に不破を説得して、結論を出すのは待ってもらう。
危ない・・・危なすぎる・・・!不破には適当なことを言えない・・・!
不破が疑問の表情を浮かべて俺らを見ているけれど、一体何を言っていいものやら。
ていうかこのままだと、不破の恋愛概念がおかしな方向へ行ってしまう。
いや、俺は何も言ってないけど、さすがにその場にいるからにはほっておけない。
一体どうしたら・・・





「あれ?まだいる。」





そんな中聞こえた声。
救いを求めるように、俺らは一斉にその声の元へ振り向いた。





「あ、俺?俺は監督たちと話し込んで遅くなっちゃったんだけど。」

「・・・っ・・・」

「で、お前ら何やってんの?」

「「ーーーーーー!!」」

「なんだよって・・・ギャーーーー!!」





それはまさに絶体絶命のピンチにタイミングよく現れたヒーローのように。
そして俺らはヒーローの登場を待っていた無力な一般市民のように、の名を叫んだ。
若菜と上原なんて、勢いあまって飛びついたくらいだから、それほど困っていたってことだ。
まあこんな方向に行った原因はこいつらだもんなあ。元をたどると原因は若菜一人なんだけど。





「離れろ暑っ苦しいー!だから俺は男に抱きつかれる趣味はないっての!」

「助けてーーー!!」

「意味がわからん。あ、不破もいる。よう、何してたの?」

「恋とは何かについて聞いていた。」

「こ・・・って、ぶはっ!何話してんだよお前ら!」

「違うよ、俺は彼女との愛について語ってたのに、不破がさー!」

「ああなるほど。不破、ごめんな。結人よっぽどうざかったんだろ?だから怒っちゃったのか?
うん、それは俺もよくわかる。いつもはったおしたくなるもんな。

「違ええ!!ていうか俺うざくねえよ!」

「そんな結人のたわごとはほっといて。」

「たわごと?!」

「本当に何なの?ていうかあっくん涙目で可愛いんだけど、どうしたらいい?





どうもしなくていい。
ていうかだったらこの状況をなんとかしてくれそうだと思ったけど、
もしかしてさらに引っ掻き回しかねない。大丈夫だろうか・・・。















俺たちはそれまでの不破との会話をに説明した。
不破がいきなり恋について聞いてきたこと、若菜と上原が答えを考えて伝えたこと、
そして不破が風祭に恋していると結論づけてしまったこと。





「・・・うん・・・な、なるほどね・・・そ、そりゃあ・・・っ・・・大変だ・・・」





笑ってる。明らかに笑いをこらえてる。
いいか。いくら気を遣って笑いをこらえてても、こらえてるのが周りにばれてたら意味ないんだからな。
まあのことだから、気を遣ってなんかいないんだろうけど。





「というわけで、恋愛とは何か不破に教えてやって!師匠!」





・・・あ、完璧丸投げしたよ若菜。
上原もほっとしたって顔してる。って、まだ何も解決してないんだけどな。

は結局笑いをこらえきれずに、思いっきり吹きだして。
盛大に笑うと満足したのか、ひとつ咳払いをしてから不破へと向き直った。





「不破はどうしていきなり恋愛に興味持ったの?」

「む。」

「今まで興味なかっただろ?考え出したきっかけがあるだろうと思って。」

「・・・好きかと聞かれたからだ。」

「ほう。」

「ただ好きなだけじゃなく、恋愛対象として好きかと言われた。
しかし俺は『好き』も『恋愛対象として』という言葉も、理解できなかった。だから答えを出すことができない。」





って、ちょっと待って?!不破、これ告白されてんだよな?!
誰かに告白されてそのときに恋愛って話が出てきて・・・ってこと?!





「でも嫌いじゃないんだろ?」

「別に不快には思わない。」

「どんな子?」

「風祭のようによく笑う奴だ。感情の起伏も激しい。
こちらは目の前で起きたことを述べているだけなのに、突然顔を赤くして怒り出したりもする。」

「なるほど。」

「あとは、そうだな。運動能力はあるはずなのに、よく転ぶ。
バランス感覚も良さそうなのに、なぜあんなに転ぶのかがわからない。」

「そういうのが可愛いとは思わないんだ?」

「なぜそれが可愛いんだ?」

「ははっ、不破はそう言うと思った。」





俺らは黙って二人の話を聞いていた。
下手に口を出して、さらに大変なことになっても困るし。
だけど不破と普通に話してるを見ると、やっぱりすごいと思う。
俺らはあたふたしてただけなのになあ。





「俺の持論でいい?」

「ああ。」

「誰かに聞いても答えは出てこないもんだと思う。」

「・・・?」

「何が恋だなんて、自分が決めるものだから。」





不破が疑問の表情でを見る。
は小さく笑みを浮かべつつ言葉を続けた。





「だーってさ、顔がいいだとか、体がいいだとか、服装が好みだとか、
話があうからとか、趣味があうからとか、理由なんてつけようと思えばいっぱいあんじゃん。」

「・・・。」

「そう思うことがつまり『好き』ってことで、じゃあ全部恋愛になるのかって言ったらそんなこともないし。」





確かに友情と恋愛の境界に、明確なものはない。
だけど、きっと何かきっかけがあって、本人はそれを恋だと自覚したりする。
そのきっかけだって人それぞれだ。





「不破にとってその子は特別?」

「・・・特別とはどういう意味だ?」

「好きだって言われて何か思わなかった?その子以外に同じことを言われたらどう思った?」

「・・・わからないな。」

「じゃあまずは、今度彼女に会ったときに考えてみるってどう?
意識するのとしないとじゃ結構違うぜ。」

「・・・。」

「それでその時思ったことをそのまま口に出せばいいと思う。
抱きしめるとか行動でもいいけどな!」

「ふむ。」

「俺は考えるよりも早く体が勝手に動いちゃうほうなんだけどさ。
不破は行動ってよりはとりあえず考察しないと気がすまなそうだよな。」





がけらけらと笑う。けれど不破の表情は変わらない。
じっと何かを考えてるみたいだ。
はそんな不破を気にすることもなく、俺たちの方へと振り向いた。





「よし!じゃあ帰るか!腹減った!」

「ええ?!これでいいの?!」

「だって後は不破の問題じゃん。」





不破の方に目を向けると、まだ何かを考えているみたいだった。
なんだか途中で放り出してしまったようでちょっと気がひけたけど、これ以上どうしようもないしな。





。」

「ん?」

「お前は恋をしたことがあるか?」

「あるよ。」

「どんな感情を持った?」

「そりゃもういろいろ。楽しいし悲しいし、切ないし嬉しいし苦しいし。」

「滅茶苦茶だな。」

「うん。けど、幸せだったと思う。」





の言う幸せがその頃の恋愛を指していたのか、それとも恋愛自体に向けて言ったのかはわからないけれど、
言葉通り満足そうに、満面の笑みを浮かべた。
がどんな恋愛をしてきたのかは知らない。
だけど、今の言葉は全部本当なんだろうなと、なんとなく思った。





「そうそう、つまり恋愛っていいもんなんだぜ!」

「結人には聞いてないよ、なー不破?」

「ああ、確かに聞いてはいないな。」

「ひでえ!何よ!皆して俺のこと妬んで!!」

「いや、妬むっていうか・・・彼女が大変だよな。」

「ああ・・・確かに。」

「忍耐力ありそうだよな。」

「お前らああーーー!!」




















。」

「お、不破。どうした?」





そして次の選抜練習日、早めの時間に来ていたの元に不破がやってきた。
この間の恋愛話の続きだろうか。表情が変わらないから、いまいち掴めない。





「女とは、難しい生き物なのだな。」

「っ・・・ごほっ、げほっ・・・!」





不破は相変わらず不意打ちすぎる。
さすがのも口にしていたドリンクをあやうく噴出しそうになっていた。





「ど、どうした?何があった?」

「お前の言っていた通りに考えてみた。」

「うん。なるほど。それで?」

「恋かどうかはわからなかった。が、」

「が?」

「俺はアイツを抱きしめていた。」





えええ?!何その急展開?!





「その時、お前の言う『特別』という言葉が頭をよぎった。」

「ふんふん。抱きしめたらわかったわけだ。」

「一緒にいると落ち着く、には当てはまる。他の奴らには感じない感情もある気がしている。
可愛いや、いつも相手を思っているというのには当てはまらないが、
そこはたいした問題ではない。お前が言っていたのはそういうことか、?」

「うん、そういうこと。」





がにっこりと笑って頷いた。
なんだよ、俺もにやけてきちゃうじゃんか。
急展開すぎるだろ。だけど、何だろう。
子供が1歩前に進んだみたいな・・・そんな気持ちになる。





「あれ、それで何で女が難しい生き物につながるんだ?」

「アイツは俺に好きだと、返事をくれとも言った。」

「うんうん。」

「しかし、俺が気持ちを口にしたら怒り出した。」

「は?何で?」

「わからん。」





不破のことを好きだったって言うなら、喜ぶべきところだろうけど。
確かに疑問だ。





「急に抱きしめたから・・・?いや、でもそれくらいはなあ。
不破、その子になんて言ったんだ?」

「『お前に恋をしているらしい。』」

「不破にしかできない告白だよな、それ。」

「?」

「まあいいや。場所は?」

「学校だ。」

「・・・教室?時間は?」

「朝だな。」

「・・・早朝?」

「いや、HR前だ。」

「・・・。」





が額に手をあてて、何かを考えてる。
学校の教室でホームルームの前って・・・





「クラスメイト全員いる状態で告白したのか?」

「何か問題があるか?」

「大有りだーーー!!少しは周りを気にしてあげて!!」





に周りを気にしろだなんてセリフを出させるなんて、さすが不破。
しかし、告白された子はちょっと可哀想だな。不破のことは好きなんだろうけど、何も公衆の面前で・・・
抱きしめられて、告白のセリフは『お前に恋をしているらしい』だもんな。それは恥ずかしいすごく恥ずかしい。
その日からクラス中にからかわれるその子の姿を想像すると、同情を通り越して泣けてくる。





「不破、俺はな、お前のそういうとこ好きだけど・・・時と場合は考えなくちゃダメだぜ?」

「一体何が悪いのかがわからん。」

「よし、わかった!今日練習終わったら作戦会議な。
兄ちゃんがいろいろ教えてやるから。」

「兄?お前は俺と同い年だろう。」

「心の兄ちゃんだ。」

意味がわからない。が、お前の言うことに興味はあるからな。行こう。」

「ははっ、それはどうも。」





人とはちょっとずれている不破とつきあっていくのは、なかなかに大変なのかも知れない。
だから今回だって、いきなりの急展開で失敗もしてしまったわけだし。
きっと今日もと話しながら、何回も何回も質問と答えと考察が繰り返されるんだろう。
それでも不破はいつも俺たちの予想を裏切るから、また失敗して疑問の表情を浮かべるのかもしれない。

けれど、それでもまたが笑いながら、不破に声をかけるんだろうな。
いつも正直で、他人に言いづらいこともはっきりというけれど、結局は世話好きなんだは。





「そこでさりげなく聞いてる桜庭くんも来る?」

「う、あ、べ、別に盗み聞きじゃねえかんな!」

「うはは、うろたえすぎ!で、来る?」

「・・・行く。」





だから、一緒にいたくなる。話が聞きたくなる。
適当なことを言っているようで、いつも誰かのことを考えてるから。





「そしたら桜庭の恋話も聞いちゃおうぜ!」

「ふむ、それは興味深い。」

「いや、ちょ、俺の話じゃない・・・」

「あ!練習始まる!」





空しく伸びた手を誰も気にすることはなかった。
・・・しまった、俺早まっただろうか。
の話すことは俺もちょっと興味あったから、聞きたかっただけなのに。

この後、の誘導と、不破の質問責めにあい、
自分のことについて洗いざらい話してしまうかどうかは・・・俺の精神力と忍耐力に賭けてみようと思う。








TOP