恋愛説得論










「こんにちは、あなたの彼女のりんごちゃんです!」

「・・・えっと・・・えーと・・・ええ?なに?誰?どういうことだよ平馬。」

「見たとおり。お前の彼女のりんごちゃんだ。

「見たとおり、じゃねえよ!さも当たり前のように冷静に言うな!」

「しかしすごいな・・・。本当にこれ、お前がやったのか若菜。」

「当然!俺こういうの得意だし任せろよ!小田も女装したかったら協力するぜ!」

「全力で遠慮しとく。」

「女装って・・・え?ええ?!」





山口くんが自称りんごちゃんをマジマジと見て、ようやくその正体に気づいたようだ。

の考えた『俺、愛する彼女がいるから(略)』計画のために、
練習を終えて俺たちはすぐにホテルに戻り準備を始めた。いや、準備っていってもの女装だけど。
結人がヘアメイクが得意なことも、俺らの髪をいじって遊んでいるのも知ってるけど、
なんで女の髪型とかメイクまで詳しいんだよコイツ。

今のの格好はロングヘアのウィッグとワンピース。その下には少しゆったりめのパンツ。
元々中性的な顔立ちとはいえ、骨格も体格も隠しつつよくここまでに出来たものだと感心する。
ぱっと見ではとても男には見えない。ていうかあまりにはまりすぎてなんか嫌だ。





「協力してくれるって聞いてはいたけど・・・そんな格好までしなくたって・・・」

「いいじゃん!俺たち圭介くん好きだからさ!何でもいいから力になりたいんだよ!な!」

「おう!俺も山口くん好きー!」

「き、協力できるならするけど・・・。」

「・・・。」





女装以外は。と心の中で付け足しつつ、英士が無言でまったく否定しようとしていないところにも目がいった。
山口くんにたいしてはいつもの毒舌とかないんだろうなー。その優しさを少し俺にも分けてくれねえかな・・・。





「お、お前ら・・・!ありがとう・・・!」





そして山口くんの曇りのない純粋さと感動屋なところとかも
あいつらに分けてやってくれねえかな。
そうすれば俺、もう少し穏やかな生活が送れると思うんだ。切実に。


















「と、いうわけで圭介くん。俺・・・わたしがその子をおびきだすところまではするから。
その後は誠心誠意でふってあげるのよ?おわかり?」

「あ、ああ。わかってるよ。」

「そして彼女が逆上してわたしを襲ってきたら、颯爽と助けてくださる?おわかり?」

、やる気あるの?ていうか何キャラ?」

「えー、だって彼女、贈り物ばっかする金持ちで高慢的な口調なんだろ?
女王様キャラっぽいからそれでいってみようと思って!」

「(((それ女王様キャラ?!)))」

「おわかりって言葉つければ女王になると思ったら大間違いだからね。しくじるなよ?

「あのー、英士くんが普段より数倍怖いんですけど。」

「訳のわからないこと言ってないで、とっとと作戦はじめたら?」

「ラジャー!行くのですわよ圭介くん!」

「お、おう。」





は一体女王というものをなんだと思っているんだろう。なんて疑問を浮かべつつ、
と山口くんはその辺を適当に歩きだした。俺たちもさりげなく後ろについていく。

でも大体その子が山口くんを尾行でもしてないと始まらないと思うんだけど・・・
そんなにしょっちゅう後をつけているものなのだろうか。横山や小田はその可能性が高いと言っていたけれど。
そんないつも後をつけるほど暇なのかその子は。





「しかし、こうやって見てると本当にただのカップルだなー。」

「俺も自分の腕にビックリしたからな!があそこまで化けるとは思わなかったぜ!」

「それで自信持って他の奴にも同じようなことしようなんて思わないでよ結人。
あれはだからセーフなんであって、別の奴にやったら悲惨なことになるよ。」

「えー、でも一馬は?」

「一馬も別。だから遊ぶなら一馬にしなよ。」

「いやおかしいだろお前ら!なんでそういう話になってんの?!」





結人と英士の間で訳のわからない話が進んでる。こういうときは俺はもう何を言っても話を聞いてもらえないんだ。
諦めて小さな抵抗とばかりにため息をつくと、後ろから軽く肩を叩かれた。小田だ。





「お前も大変なんだな・・・。」





ああ、俺なんだか小田とは気があいそう。
いい友達になれそうだ。話の基本はお互いのダチのグチから始まりそうだけど。













「つーかさ、なんかりんごちゃん、やけに大また気味なんだけど。」

「あーあ。外見は女に見えても、あの歩き方はないよね。」

「あ、山口くんのこと殴った!バカ!冗談で殴るにしても、女はグーでは殴らねえよ!」

「これは狂暴な彼女設定でいくしかないね。それか一度しめてこようか?

「「こわいこわいこわい!!」」

「あー・・・あれじゃすぐにバレるんじゃないか?」

「いや、そんなことないと思うけど。」





最後の言葉に俺たちは一斉に横山を見た。
そんな俺たちをチラリと見ると、横山は反対方向へと視線を向けた。





「あそこに今にも二人に飛び掛りそうな形相をした女が一人・・・」

「「えええ?!」」

「お前何冷静に見てんだよ!はやく言え・・・っつーか捕まえろーーー!!」





そのときの俺たち(一部除く)の勢いは、普通に考えれば通報されてもおかしくなかったんじゃないかと今になって思う。
彼女と、その傍にいた2人の大人の男目掛けて俺たちは走り出した。
黒スーツ、サングラスの男たちを俺と結人、小田で抑え、残った横山と英士が悠々と彼女に近づいた。
そして英士がニッコリと笑みを向ける。





「さあ、どうしてくれようか?」





正直に言おう。身が竦みました。
それは彼女も同じだったらしく、英士をにらみつけ抵抗しながらもその場に座りこんでしまった。




















「・・・君がこの手紙の送り主ってことで・・・いいんだよな?」

「・・・。」






俺たちは黒いオーラを放つ英士をなだめ、そして黒スーツたちは彼女に言われた通りに
少し離れた場所から山口くんたちを見守ることにした。

ていうかこの黒スーツの人たち、なんだろう。彼女の付き人か何かか?
もしかしてマジで金持ちなのかなあの子。

まあそんな疑問は置いといて、今は山口くんと彼女、
そして山口くんの彼女役をしていたの三人が並んでいる。





「今まで言う機会がなかったから言えなかったけど・・・」

「待って!」

「何?」

「・・・そこの人は・・・なんなの?」

「なんなのってどう見えてたの?」

「だ、だって・・・!腕組んだり、ふざけあったり、見つめあったりしてたじゃない・・・!」

「「・・・。」」





すげえ・・・!あの二人がそんな風に見えてたんだ・・・!
大またで歩く狂暴な女装男でも仲睦まじそうに見えるもんなんだな!





「・・・だって、圭介くん!どうする?」

「あーもうふざけるなよお前・・・。」

「何よ!わたしは認めないからね!!圭介と結婚するのはわたしなんだから!!」

「・・・。」

「わたしだったら圭介の欲しいものをあげられるわ!サッカーだって思う存分すればいいし、
最適な環境だってつくってあげられる。望むことなら何だってしてあげる!」





と山口くんにバカにされたと思ったんだろう。彼女が二人をにらみつけて強い口調で言葉を放った。
しかし話には聞いてたけど、本当に思い込みが激しい子なんだな。
山口くんは俺らも認めるくらいサッカーがうまいし、まっすぐで性格だっていいと思うし、
モテることも知っていたけど。やっぱりそういうのって大変なんだな・・・。





「ごめん。俺、好きな子がいる。」

「!」

「ずっと一緒にいて・・・まだ俺は気持ちを伝えてないけど、それでもいつか伝えたいって思ってる。
ケンカだってするし、彼女は俺のことバカにすることだってある。だけどいつも傍にいてくれて、元気をくれる。
俺って人間をしっかり見ててくれる。好き勝手やってる俺の背中をいつだって押してくれる。」

「・・・。」

「俺は、その人しか考えられない。他の子なんて考えられないんだ。だから、ごめん。」





今までほとんど姿を見せなかったという彼女。
山口くんのこんなにもまっすぐな思いを聞いたのだって初めてだろう。





「いやよ!わたしは絶対認めない!!」

「ちょ、ちょっと待・・・」

「そんなに好きな子がいるくせに、他の子とも遊べるんでしょう?!
そんなのすぐに心変わりするわ!」





泣きそうな顔で叫びながら、彼女はその場から一目散に走り出した。
山口くんが手を伸ばして追おうとしたけれど、が手で制す。





「・・・・・・。」

「ここからは女同士の話合いってことで!」

「・・・お前だって男だろ?」

「いいえ、今のわたしはりんごちゃん!心は女!という設定!」

「え、えええ?!」





訳のわからない理屈を告げると、は彼女の後を追うように走りだした。
俺は少しだけ迷ってから、の後を追うことにした。

















「かーのじょ!」

「っな、何よ貴方・・・!」

「りんごちゃんです。」

「誰も自己紹介しろだなんて言ってないわよ!」

「贈り物に付き人にその高そうな服装も。もしかして本当にかなりのお嬢様?」

「関係ないでしょう貴方には!」

「わー、泣いてるかと思ったら意外と元気。
まあそんなことは置いといて女同士で話しません?」

「な、泣くわけないでしょう?!この私が・・・!」

「えー、強がらなくてもいいのに。」

「何ですって?!」





の後を追ってきたのは、俺と彼女についていた黒スーツの二人。
女同士(一人は見た目だけだが)で話し始めた二人の会話に入っていくこともできず、
俺たちはまた少し離れた場所から彼女たちを見守る。





「で、質問。」

「・・・。」

「『好きな子がいるくせに、他の子とも遊べるんでしょう』って言ってたよね?
何で圭介くんの『好きな人』が私って思わなかった?」

「・・・。」

「圭介くんが話してた好きな子っていうのが、仲睦まじくしてた私の可能性だってあったわけで。
むしろあれ、隣にいた私への告白だったかもよ。」

「・・・そ、それは・・・」

「圭介くんに好きな人がいること、知ってたでしょ?」

「!」





そういえばあのとき山口くんは、誰が好きかなんて言ってない。
確かにそれを指すのがあのとき一緒にいたの女装姿の方だと思ってもおかしくはない。
恋人だと思わせるように歩いていたのなら尚更だ。





「話を聞いたときから思ってたんだよなあ。圭介くんにつきまとって家までわかってるなら、
圭介くんの隣にいつもいる女の子の存在に気づかないはずがない。」

「・・・っ・・・」

「さらにそれだけ圭介くんを見てたなら、彼女に向ける気持ちだって嫌でもわかってしまう。」

「・・・そ、それ、は・・・」

「アンタが姿を見せなかった理由、わからなくもない。
こうして面と向かってそれを告げられるのが怖かったんだろう?」





金持ちで思い込みの激しいどこぞの女が自分の気持ちだけ押し付けて、山口くんを困らせているのだと思っていた。
ていうか山口くん寄りの話を聞いて、そこまで相手のことを考えることなんて普通できないだろう。
だけどはそこまで考えてたのか。・・・つくづく侮れない奴。





「何なのよ貴方・・・」

「正解?」

「・・・貴方も・・・圭介のこと、好きなの?」

「好きだよ。」

「・・・そう。」





先ほどまで攻撃的な口調だった彼女の勢いが少し和らいだ。
もしかしたら自分の同じ気持ちの女の子ってことで気を許しかけてるのかもしれない。
いやそいつ・・・男なんだけど。





「わたし、初めてだったのよ!」

「何が?」

「ここまで心を奪われたのが!しかもこのわたしのよ?!」

「ふはっ、何その自信!」

「だって顔もよくて勉強も運動だって誰よりも出来るよう努力してきたわ。
わたしはそこらの女に負ける気なんて、これっぽっちもなかったの。勿論、貴方にだって。」

「わー、直球ー。」

「当たり前よ。他の子が遊んでいる間、わたしは努力し続けたわ。
貴方なんかと一緒にしないで。」

「うん、でもはっきり言う性格は嫌いじゃないよ。」

「貴方に褒められても嬉しくないわ。」





なんかはっちゃけてきたな、彼女。
ていうかさっきから後ろの黒スーツの人たちがハラハラしすぎなんだけど。大丈夫ですかこの人たち。
大体なんで俺以外こっちに来てないんだよ!皆山口くん好きすぎだろ!
いや、俺だって別に嫌いとかじゃな・・・ってそれどころじゃなかった。





「圭介くんのどこが好きだった?」

「・・・サッカーをしているところ。」

「他は?」

「・・・まっすぐで・・・歪んでいないところ。」

「うん。」

「負けず嫌いで・・・努力し続けているところ。」

「あとは?」

「いつも・・・楽しそうに・・・何をするにも、楽しそうにして・・・っ・・・」





それまで強がっているように喋り続けた彼女の声がつまった。
顔を俯けて体を震わせている。





「うんうん、圭介くんは罪深い男だよ。」

「何よ、昔から一緒にいるってだけで・・・!わたしだって同じくらい・・・ううん、誰よりも彼が好きだわ!」

「そっか。うん、接し方がわかんなかったんだよな。初めてだもんなあ。」

「上から目線でものを言わないで!わ、わたしは・・・」





初めて好きになった人に既に好きな人がいたらどんな気持ちなんだろう。
世間知らずで自分に絶対の自信を持っていたお嬢様が、決して崩すことの出来ない壁を見せ付けられたら。
横山たちから聞いていた彼女の行動は、それを物語っていた。





「・・・うっ・・・うう・・・お嬢様・・・」





そりゃ泣くよな・・・ってなんか声野太くねえ?!
って、黒スーツたち泣いてる!!大の男が二人泣いてますけどーーー!!





「大丈夫、アンタなら別の男が見つかるよ。」

「て、適当なことを・・・」

「何それ。本気で思ってるのに。」





泣いている彼女の頭に手をのせて、は穏やかに笑みを浮かべた。
そんなの顔が見れなくなったのか、彼女は不満そうにしてすぐに顔を背けた。





「・・・おっと、ゴメン、戻らなきゃ。さすがにそろそろやばい時間だ。」

「・・・あ、ま、待って!」

「なに?」

「圭介のこと、ずっと見てきていたのに貴方のことは見たことがなかったわ。
圭介とはどういう関係なの・・・?」





あ、最後の最後でまずいこと聞かれたな。
はなんて答えるんだろう・・・。このまま『りんごちゃん』で終わらせれば綺麗に終わらせそうだけど・・・。

そう思っていた俺の予想は見事裏切られ、はつけていたウィッグを豪快に外した。





「俺、。圭介くんとはサッカー仲間なんだ。」

「・・・なっ・・・なー・・・?!」

「騙しててゴメン!でもアンタに言ったことは全部本当だからさ。」

「・・・あ・・・あああ・・・」

「いい男見つけろよ!」





あまりの衝撃に呆然としてる彼女を横目に、がこちらへと走ってきた。
拍子抜けしている俺の背中を叩いて、並んで走り出す。





「お、お嬢様あーーー!!」





黒スーツたちが走り出して、その先を見てみるとどうやら彼女が倒れてしまったみたいだ。
そりゃそうだよな。最後の最後にあんな風に正体ばらすとは思わなかったぜ。
しかしまあ、あれだけ心配してくれる人たちなんだ、後は任せてもきっと大丈夫だろう。



















「それじゃあ、いろいろありがとな皆。」

「おう!困ったらいつでも俺を呼んで!気が向いたら助けるから!」

「気が向いたらかよ。ははっ、でもその時はよろしく頼んだ!」





次の日、午前中に行われた合宿最後の試合を終えて俺たちは帰路につこうとしていた。
結局は山口くんたちに、あのときの詳細は伝えていない。ただ、きっともう大丈夫とだけ。





「じゃあまたな!次も負けねえかんな!」

「次もってなんだよ、今回は引き分けだっただろ!次こそ決着つけてやる。」

「望むところだ!」

「平馬くんとちーちゃんもな!圭介くんの好きな子の写真送ってくれるの待ってるから!」

「うん。でも俺は基本的にギブアンドテイクだから。」

「まあ、撮れたらな。」

「ちょっと待て!そこで変な約束取り付けるのやめろ!」





お互い挨拶をかわして、俺たちはバスに乗り込んだ。
バスが動き出して、手を振る東海選抜の皆が遠くなっていく。





「はー今回も面白かった!」

「いろんな意味でな!」

「毎回面倒ごと持ってこないでよね、。」

「・・・疲れた・・・」














東京に戻ってから少しすると、に山口くんから手紙が来たそうだ。
俺らへの挨拶と一緒に、あの子のことが書いてあった。

彼女から謝罪の言葉があったこと、それから友達にもなったこと。
ここまでは皆で顔を見合わせてよかったな、なんて笑いあっていたんだけれど。





『それと、彼女から伝言。』





が読み上げたその言葉に、俺たちは興味津々で続きを覗き込む。





『「またお話してあげるわ、りんごさん。」だって。お前ら一体何話したんだ?
彼女に聞いても教えてくれないんだけど。』





「・・・っ・・・お話してあげるって・・・!最後までプライドたっかいなあの子!」

「あれ?正体ばれたんじゃなかったっけ?」

「いやあ、違ったみたい?」





腹を抱えて笑い出したを見て、状況がよくつかめていない結人と英士が顔を見合わせる。
俺も自然と笑みがこぼれていた。
のすることはいつもめちゃくちゃだけど、いつも最後にはなるようになっているから不思議だ。





「うーん、また行きたいな!引分試合のリベンジもしたいし!」

「だな!圭介くんのベタぼれな子もみたいし!」

「写真送ってくれないんだ?」

「なんかね、すごい抵抗されてるらしいよ。圭介くんも頑張るよなー。いつかバレるのに。」

「・・・。」

「まあ圭介くんの好きな子は置いといて、俺らはこっちを愛でましょうかね。」

「こっち?」





が鞄から数枚の紙束を取り出した。
満面の笑みを浮かべるに嫌な予感を覚えつつ、それを覗き込む。





「初代リンゴちゃんの写真です!!」

「おおー!!」

「おおー。」

「ギャー!!」

「西園寺監督のとこにも持ってかなきゃな!いろいろ借りたし!」

「や、やめ、やめてくれーーー!!」





なるようになっても、その過程がとんでもない。
主に巻き込まれて被害をこうむっているのは俺の気がするんだけど、これは気のせいなのか?
意識の持ちようなのか?ていうか自分の女装写真を見せられて喜べるポジティブさなんて持ち合わせてねえよ!
そんな奴いたら教えてくれよ!!





「そしてこれが2代目りんごちゃん!ちょー可愛い!」

「おお!俺の傑作!」

「本当に女みたいだね。」

「・・・。」

「こっちは限定品、そして値段も特別金額にするから!皆惚れちゃうと困るからね!」





目の前にいた。



くそう、こんなに性格違うのにどうして俺はコイツと一緒にいるんだろう。
まあ、答えはわかっているんだけど。

その答えと自分の気苦労を天秤にかけたら、俺はなぜか気苦労を選択してしまうってだけの話で。





と、自分の中でうまくまとめたはずなのに、この日からしばらく都選抜内でリンゴちゃんのあだ名がついた俺が
また自分の立ち位置に疑問を繰り返していたのは言うまでもない。








TOP