単純少年、煩悶少女








「あああ、不覚・・・!!」

「何がだよ?」

「小岩、私いますごく悩んでるの。どうしたらいいのかわからない。」

「な、なんだよ。深刻な悩みか?」

「とりあえず、私にクリームパンを買ってきてください。甘いものがないと落ち着いて話せない気がする。」

「なんだそれ?!」

「5分以内。貴方の足なら出来る!よーい、どん!」

「だからお前っ・・・あーもう!ちくしょう!」





*****





「はーっ、はーっ、ほら、これ、買ってきてやったぞ!」

「さすがパシリになれている子ね。よくやったわ!」

「だれがパシリだよ!男には先輩後輩関係っていう常識が存在すんだよ!なめんな!」

「なにその常識。くだらない。」

「お、ま、え〜!!」

「クリームパンつぶれそう。握ってきたの?」

「あー・・・必死だったから・・・」

「うむ。ご苦労。」

「で、なんだよ。悩みって。ていうか、なんで俺が聞いてんだ?」

「うん、それはね。アンタじゃないと話せないことだからよ。」

「・・・俺ってそんなに信頼されて・・・」

「うん、違うけどね。」

「なんださっきからお前は!!」





*****





「私、最近あることに気づいたの。」

「何が。」

「私、割とモテてるということに・・・!」

「・・・。」

「まあね。私ももう子供じゃないからね。たまに高校生と間違えられるしね。」

「・・・で?」

「で、じゃないわよ。」

「いや、それしか言いようがねえよ。」

「まあ、そんな私がですよ。」

「うん。」

「自分より背の低いちんまりとした、思考回路単純で、なんかこうちょいワルに惹かれて悪ぶってるようなアホな子が気になって仕方なくなってしまいました。」

「なんだそりゃ。」

「不覚でしかない!」

「・・・何?好きな奴が出来たってこと?ていうかお前、悪口しか言ってなくね?」

「ああ不覚!」

「人の話聞けよ。」





*****





「で、なんで俺が話聞かされてんの?」

「だって小岩、知ってるでしょ。」

「ああ?お前より背が低くて、単純で、ちょいワルでアホ?そんな奴いたっけ?」

「いるのよそれが。驚いたことに。」

「どこに?」

「そこに。」

「そこってどこだよ。」

「其処というのは聞き手に近い場所を指すのよ。おわかりかしら?」

「そんなこと言ったって、俺とお前しかいねえじゃ・・・」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・は・・・はあああああああ?!!」





*****





「不覚!不覚!大不覚!!」

「おっ前・・・!なんだよそれ!俺か?!俺なのか?!ていうか誰が単純でちょいワルでアホだよ!!ふっざけんな!!」

「ああ不覚!なんで私が・・・!」

「それはこっちの台詞だ!!」

「っ・・・」

「・・・あ、え、ああっと・・・」

「・・・。」

「いや、その・・・俺、そういうの考えたことないし・・・お前はほら、今まで腐れ縁だし、一緒にい過ぎてさらによくわかんねえっつうか・・・」

「調子に乗るんじゃないわよ!小岩のくせに!!」

「だから俺・・・って、ええええ?!」

「なんで私が小岩に振られないといけないのー!いやああー!」

「誰も振るとか言ってねえだろ!俺はっ・・・!」

「・・・俺は?」

「・・・お、お、俺は・・・」

「・・・。」

「その、やっぱ、まだよくわかん・・・」

「アホーーー!優柔不断!似非ちょいワル!赤メッシュ!」

「赤メッシュ関係なくねえ?!」





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