爛漫少年、無愛想少女 「さんていつも機嫌悪そうで怖いよね。」 「あー、確かに表情変わらないよなあの子。」 「こっちが笑顔で話してるのに、ああも愛想がないと空気も重くなるしさー。」 私は他人と話すことが苦手だ。 周りの皆のようにコロコロ表情を変えることもないし、楽しそうなおしゃべりもできない。 だからクラスの中で私の存在が浮いているということも知っている。 放課後に教室に残ってるクラスメイトの会話を耳にして、教室に入るタイミングを失ってしまった。 彼らはもう私は家に帰ったと思っているんだろう。 「なのに、何でそのさんとみっくんがつきあってるんだろー!」 「だよねー、みっくんならもっといい子がいるっていうか。」 「でもまあさんって顔はいいからなー。あと幼馴染なんだろあの二人。」 「みっくんは顔で選ぶような人じゃないよ!幼馴染なのをいいことにさんが無理矢理つきあえって言ったんじゃないの?!」 幼馴染なのをいいことにって、どうやってそれを利用するというのだろうか。 まあ私がいろいろと言われるのには慣れてるし、光宏の人気が下がるわけでもないし別にいいのだけれど。 「つきあってって言ったの、俺からだよ?」 「そんなの嘘・・・って、みっくん?!」 「いつの間に・・・!!」 本当にどこから現れたのか、彼らの会話に光宏が突然参加した。 あ、教室の窓が1つ開いてる。ここは1階だし、そこから入ってきたのか。ていうかなんで窓から・・・。 「は誤解受けやすいけど、皆が言ってるような子じゃないって。」 「なんでそんなにかばうの?!幼馴染だから? 私、さんに話しかけたけど無視されたことだってあるんだよ?!」 「その理由は知らないけど、とりあえずアイツが無口なのは元からだし。」 「・・・みっくんはつまらなくないの?そんなさんと付き合ってて。」 「いや、全然。」 「な、何?どこがいいの?」 「だって、可愛いじゃん。」 「って、やっぱり顔?!そんなに好みの顔ってこと?!」 「そうじゃなくてー、、ちょっと来いよー。」 「「「!!」」」 ・・・光宏には私がここにいたこと、すっかりバレていたみたいだ。 私のことを話していた彼らが一斉にこちらを振り向いた。 見つかってしまったからには仕方がない。私は光宏の言葉に従って彼らに近づいていく。 「き、聞いてたの?」 「・・・うん、出てくタイミング失ったから。」 「それだけ?もっと他に言うことあるんじゃないの・・・?怒るとか、文句言うとか・・・。」 「ううん、皆が言ってたの本当のことだと思うし。光宏と私が付き合ってるのがおかしいって思うのも当たり前だと思うし。」 「・・・。」 「おい、俺とがつきあってるのがおかしいって何!もそう思ってたのかよー!」 「だって光宏人気あるし。私は逆に嫌われてるし。」 「あーあー!俺、こんなにのこと好きなのに・・・!!」 「!」 周りの皆がかたまってる。 ・・・どうして光宏は恥ずかしげもなくそんな言葉が言えるんだろう。 「、こっち来て。」 「・・・なに・・・っ・・・」 光宏に近づいた途端、視界が変わり気づけば温かな腕に抱きしめられていた。 「あー落ち着く。」 「・・・ちょ、ちょっと・・・光宏・・・」 「やっぱり俺はが一番だなー。」 「・・・みつ・・・」 感情の表現が下手な私に、嫌われ者の私に、どうして。 いつも欲しいと思う言葉をくれるんだろう。 「なんでわかんないの?はそんなに俺のこと思ってないわけ?」 「そ、そんなこと・・・ないっ・・・!!」 「じゃあ俺のこと好き?」 「・・・・・・・すき。」 いつも私を包んで、温かな言葉をくれて。ずっと傍にいてくれる。 小さい声で、たった一言だけれど、この言葉だけはちゃんと貴方に伝えたいとそう思う。 「ほら、見てよもう!すっげえ可愛いだろ?!」 「「「・・・。」」」 「が無表情っていうけど、表情なんてコロコロ変わるんだよね本当は。 この真っ赤な顔とかすっげえわかりやすいだろ?」 「・・・みつひろ・・・」 「何?」 「・・・恥ずかしいからもういい・・・」 「え?別に俺は恥ずかしくな・・・って、いて!」 「帰る。」 「え、ちょ、ちょっと待てよ!俺ももう部活終わったから一緒に帰るからさ!」 「・・・門のとこにいる。」 「りょーかい。じゃあまたな皆!」 「・・・あ、うん。」 「また明日ー・・・。」 唖然としたクラスメイトたちを置いて、私たちは教室を出た。 「・・・ただのバカップルを見せ付けられた気がしてならないんだけど。」 「気がするんじゃなくて事実だ。」 「まあみっくんがさんを溺愛してるのはわかった。」 「さんも・・・みっくんが大好きっぽいね。」 「ほとんど喋らなくてもあれはわかりやすすぎだよな〜。」 「でもさ、みっくんの言ってた通りあのときのさんって・・・」 「(((可愛かった・・・。)))」 TOP |