無気力少年、熱血少女









皆仲の良い私のクラス。
イベントがあるたびに盛り上がるのもいつものこと。
そんな中で、たった一人。マイペースを貫く人物がいる。









「年に1度の球技祭!燃えずにどうする!ねえ設楽!!」

「ああ、いいんじゃないの?」

「ね!うん!そうだよね!だから設楽!何に出るのか選んで!!
設楽はサッカー部だからサッカー以外ね!」

「いいよ、俺パス。だるい。」

「何がパスだ!全員参加義務だから!ていうか最後まで希望を言わなかった設楽の種目は決まってるけどね!」

「俺選択肢ないじゃん。」

「だってしょうがないじゃん。希望言わないんだもん。残った枠に入るのは当然。
大丈夫!設楽なら運動神経いいから何だっていけるよ!」

「それはどうも。ところで俺、もう帰っていい?」

「もー!もっと燃えようよ!今日皆で各種目の練習しようって言ってるんだよね!設楽も行こうよ!」

「いやだ、面倒くさい。」

「そうだ!設楽、隣のクラスの鳴海と同じ種目だよ。普段協力しあってる相方との戦いに負けたくないでしょ?」

「いいよ負けで。それと鳴海と相方とかって止めろ。気色悪い。」

「もー!どうすればその気になってくれるのー?!私はやるからには勝ちたいの!このクラスで優勝したいの!
設楽もやる気になってくれなきゃ勝てないよー!」







「・・・見返りは?」

「見返り?あるじゃんあるじゃん!クラスの皆との友情!そして思い出!!」

「お前バカだろ。」

「何それ!私すっごいそれ好きだけど!皆で協力して何かをするって楽しいじゃん!」

「そんなものいらないし。」

「そもそも学校行事に見返りを求めないでよ!」

「学校行事でそんなに燃えてるお前がおかしいだろ。」

「燃えない設楽の方がおかしい!」

「あっそ。じゃあ俺帰るわ。」

「まーっ待った待った!見返りまだあった!」

「へえ。何?」

「優勝クラスにはノートとシャーペンセット・・・「じゃあなー。」・・・って待てーーーー!!」








「待ってってば設楽!無視するなー!」

「・・・俺、欲しいものがあるんだけど。」

「はっ!何?!それを私に買えと・・・?!」

「あー、金かかるもんじゃないから大丈夫。」

「え、何それ?」

「くれんの?くれんならやる。」

「だから何?言ってくれなきゃわかんないよ!」

「どっち?早く答えないと俺は帰る。」

「あーもうわかったよ!私があげられるものならあげるから!皆もう待ってるの!」

「・・・わかった。」








「もー!何で設楽はそんなにやる気ないの!クラス皆燃えてるのに!」

「俺は自分の興味あることしか燃えない性質だから。」

「球技祭も興味持って!楽しいんだから!見返りなんてそれで充分!」

「そう言ってさっきの言葉誤魔化そうとしてんだろ。俺は絶対忘れないからな。」

「・・・ていうか気になる。設楽の欲しいものって結局何?」





「お前。」






「・・・。」

「・・・。」

「・・・はああーーーーー?!」

「耳が痛い。」

「う、あ、な・・・何言ってんのーーーー?!」

「言っただろ?興味のあることしか燃えないって。燃えてきた。すっげえ燃えてきた。」

「表情変えずに言われても説得力ないけど!」

「とりあえず俺のチームはどこにも負けない。それで見返りがもらえるってことで。」

「なあ・・・?!何それ!既に決定事項?!」





「なあ、ところで。」

「なっ・・・何?!」





「俺の種目って何?」







自分の出場する種目もメンバーすら知らずに、自分のチームは負けないとそう言った彼。
その結果は、神のみぞ知る。











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