裕福少年、困窮少女









今はまだそのままでもいい。惚れた方が負けっていうしな。







「あれ?その財布破れてる。」

「あー。うん。そうだね。」

「そうだねって・・・新しいの買わねえの?」

「・・・。」

?」

「なめとんのかこのボンボンがぁ!!買えるもんなら今すぐにでも買うっての!!」

「なっ、何だよいきなり!俺なんか言ったかあ?!」

「いーい?雄一郎くん。誰もが君みたいに『あ、財布破れたー。新しいの買わなきゃ〜』なんて
ヘラヘラしてると思ったら大間違いよ?」

「誰もヘラヘラしてね「おだまり!」」





「ああ神様。この恩知らずに罰を与えてやってください。お金のありがたみも知らないこのボンボンに
労働の厳しさとか教えてやってください・・・。ああ、ちくしょう!」

「・・・何もそこまで言わなくても・・・。」

「おだまり!バイト掛け持ちの1つや2つやってから文句言いなさい!」

「しょうがねえじゃん。する必要ないんだし。」

「ぎゃあ!言った言ったよ神様!
神様は何でこんなに差をつけて人を生み出しましたか。アーメン。」

「お前、適当にアーメンとか使ってると、キリスト教徒に怒られるぞ。」

「うるさい!ああもう先月のバイト代は使っちゃったしなあ。」

「そういやお前、家にも金入れてるんだって?偉いよなー。」

「そうよ!偉いの私!ていうか家計厳しいのよ!桜庭も少しは見習って敬って、新しい財布買ってくれてもいいのよ?」

「え?」

「ああもう、わかったわよ!自分で買えばいいんでしょ!ケチ!」

「誰もそんなこと言ってねえじゃんか!別にいいよ。買ってやるよ。」

「そんな同情いらない!バカ!バカ桜庭!ボンボン!キー!!」

「ど、同情じゃねえし!」

「じゃあ何?!同情以外に何があるのよ!」







「・・・・・・・点数稼ぎ。」







「・・・ま、まさかアンタ・・・。」

「・・・。」

「私をモノで釣ろうと・・・!!恐ろしい子・・・!!」

「別にそういう意味じゃなくて!いいだろプレゼントくらいさ!」

「・・・私はモノにつられて落ちる女じゃないわよ?」

「わかってるっての。そんなの。」

「わかってるなら宜しい。いつでもプレゼントを持ってきたまえ。」







でもあれだな。もしもお前が俺んちに嫁いだら、お前もお嬢になるよな。
俺のことボンボンってバカにしないよな。

なんて、ちょっと(いやかなり)恥ずかしいことを言ってみたら
「お嬢・・・。それもありね・・・。」なんて呟きやがった。



その表情があまりに真剣だったから(本当危ないなコイツ)、今度は俺の家に関係のない
サッカーにでも誘ってみようと思う。

俺の格好いい姿見せて、金なんて関係なくお前の目に映るようになってやるし!覚悟しとけよな!








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