饒舌少年、寡黙少女










俺の存在も気にせずに毎度のマシンガントークを飛ばす翼。
その矛先のほとんどは彼の幼馴染に向けられる。










「大体はさ。何かに夢中になるとそれに一直線で周りなんて全然見えてないって感じでさ。
前なんて覚えてる?遊園地で着ぐるみに夢中になってはぐれたよね?一体いくつだよ全く。もう僕たち中学生なんだよ?」



「・・・。」



「で、いざ迷子になっても誰にも声かけないで突っ立ってるだけだしさ。僕が見つけるまでその場で1時間突っ立ってたって
本当にもう、どういうこと?携帯に電話するとか、誰かに道聞くとかできるだろ?」



「・・・。」



「ああ、あの日携帯は忘れたって言ってたっけ?いや、それ以前の問題でさ。
あの暑い日に1時間突っ立ってるって、熱中症にでもなったらどうするつもり?それで迷惑かけられるのは僕なんだからね?」



「・・・。」



「本当にそれでこれから生きていけるのか心配なんだけど。
僕とだってずっと同じ学校なわけじゃないんだし、いつまでも面倒見ていられるわけじゃないんだから。」



「・・・。」





。聞いてる?ていうか、何か笑ってない?」

「・・・うん。」

「何がおかしいわけ?言っとくけど今、笑うところじゃないからね。」

「だって翼が優しいから。」

「優しい?どこが。何が。僕はの危なっかしさを説明してるんだよ?
ああ、ある意味優しさかもね。でも笑うところじゃなくて、反省するところだから。」

「・・・ごめんなさい。」

「だっ・・・だから僕に謝ったって・・・って、誰に謝る必要もないんだけどさ。ああもう、調子狂うな本当に。」







「・・・ねえ翼、質問。」

「何?」

「それってつまり、私を心配してるってことだよね?」

「ああ、そうだね。のこれからの人生が本当に心配。」

「大丈夫だよ。」

「何を根拠に。その楽観的な考えも危なっかしいったらない・・・」





「翼がいるから。」





「・・・。」

「・・・。」

「だ、だから、僕がいつまでも一緒にいられるわけじゃないって言ってるだろ?!」

「・・・一緒じゃないの?」

「いや、だからずっと離れるとかそういうことじゃなくて、違う環境で・・・あーもう!何でもないよ!」

「ずっと一緒でしょ?」

「あー、そうだね!そうだよ!」








「・・・ククッ・・。」

「何笑ってんのさ柾輝。大体柾輝もさっきから黙って話聞いてさ、少しはの説得を・・・・」





少しスキを見せれば放たれる俺らのキャプテンのマシンガントーク。
始まれば誰にも止められないが、たった一人の例外には彼も逆らえないようだ。







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