ポジティブ少年、ネガティブ少女







ないない。
こんな可愛くて格好よくて、男女問わずモッテモテな吉田くんが私のこと好きとか、絶対ないよ。







「なあ。僕、のこと好きやで?」

「・・・。」



(いやいやいや、ないない。これはアレだ。若者の軽いノリだ、そうつまりは挨拶!)



「あはは。ありがとー。」

「礼を言うっちゅうことは、も僕のこと好きなん?」



(そりゃ好きに決まってるけど、ここで本気になって答えたら笑われるだけだしね!)



「そうだねー。吉田くん面白いもんね!」

「おもろいとかやなくてー。僕のこと恋愛対象としてどう思っとるのかって話やん。」



(・・・いやいやいや、ないないない!絶対ない。吉田くんは女の子にモテるだけあって人をドキドキさせるのがうまいなあ!)



「そりゃー好きだよー。吉田くん格好いいもんね。」

「ホンマ?ホンマに?」

「うん、本当。」

「僕ものこと好きやで!」



(・・・恋愛対象の話してて、僕も・・・ってことは・・・。いやいやいや、ナイナイナイナイ。
大体女の子なんてよりどりみどりの吉田くんが私を選ぶわけないからね!)



「あはは、嬉しいなぁ。」

「・・・そうやっていつもかわすんやもんなぁは。」

「かわす?」

「僕の言葉、本気やって思ってへんやろ?」



(だって本気なはずないもん。私のことなんか好きなはずないもん。だから本気にしたって無駄なんだもん。)



「・・・よっしゃ。わかった。もう一回聞くで?」

「えっ・・・?な、何?」

は僕を好きやな?LOVEやな?!」

「ら、らぶ・・・?!」

「愛やな?!イエスかノーで!!3、2、1」

「いっいえす!!って何っ・・・・・・」





(・・・・・・・・・。あれ?何だ?私、今何してる?どうして吉田くんの顔が目の前にあるんだっけ?)





「おもろい顔しとるなぁ。」

「・・・・・。」

「本気やってわかった?」

「・・・い、今、あれ?く、口が・・・口に・・・、あれ?!」

「そりゃあキスやからね。愛があるなら問題ないやん?」

「・・・・・・・・。」



(・・・えー。えーと、落ち着け私。頭の中を整理だ。私今、何した?吉田くんの顔が目の前にあって、
そしたら口に何かが触れて。なんかあったかかった。・・・じゃなくて、いや、あの、え?)



「・・・・・・キスー?!」

「遅いわ!」

「何で私なんかに、私なんかと・・・!」

「私なんかって何やねん。やからしたかってん。」

「・・・。」



(私だからって何?あれか、吉田くん特有の殺し文句。って、私に殺し文句言ってどうするんだ!
美人な子飽きちゃったのかな。それで私みたいなのとキスしてみたらどうかなーとか思ったとか。そう、そうだ!そういうことだ!)



「ダメだよ吉田くん!いくら好奇心からだって女の子の唇そんなに簡単に奪っちゃ!」

「いや、簡単でも好奇心でもないんやけど。」

「じゃあ何?!もう、訳わかんないよ!」

「だからが好きやって言っとるやんか。も僕のこと好きって言うたやん。嘘なん?」

「嘘じゃないけど、吉田くんが私のこと好きになるわけないじゃん!」

「ホンマ自分アホやろ。どうしたら信じてくれるんかなー。」

「アホって・・・何・・・」

「しゃーない。」





信じてくれるまで、とことん追いかけたるわ。





そう言って呆れたように、けれどどこか楽しそうに吉田くんは笑った。






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