だから私は





何度も何度も追いかけた。
近くにいるのに、遠くに感じる貴方の背中。



「せーのっ!」

「・・・。」

「くぅー!また負けたぁ!」



手に持つものは、自分たちの成績表。
対等でいたい、目指すべき相手は目の前にいる。



「すごいな。いつの間にこんなに出来るようになったんだ?」

「私は元から出来る子なんですー!」

「あはは。そうか。すまない。」



中学に入って、最初のテスト。
小学校の時には叶わなかったから、中学で今度こそって思ってたのに。
この優等生はそんなこと、なかなか許してくれない。
それも克朗の努力の結果あってのことだって、わかってるけど。

笑いながら、穏やかな笑みを見せて克朗が謝る。
やっと貴方の近くまで来ることができた。貴方と並べる所まで来た。



「次は負けないよ。」

「はは。俺だって負ける気はないぞ。」



誰からも好かれて、尊敬されて
そんな貴方の側にいることに、誰にも文句なんか言わせない。

だから私は、努力し続ける。
貴方に、認められたい。貴方の側でずっと、笑っているために。