今はまだ 自分を見もしない奴を想い続けるなんて、俺らしくもないのに。 「いい加減、諦めれば？」 「何で。諦める必要なんてないでしょ？」 本当、こんな素直じゃない女をどうして好きになったのか。自分でもよくわからない。 毎日のようにからかって、言い合いをして、それでも俺はコイツが好きで。 「三上こそ・・・諦めれば？」 申し訳なさそうに、が呟く。 これが嫌味でも何でもないことくらい、わかってる。 こんなに気が強いくせに、やたら他人のことばっかり考えやがる。 「諦めねーよ。諦める必要なんてないだろ？」 何だか悔しくなって、同じ言葉を返してやる。 ホラ見ろ。お前も何も言えなくなる。 「意地っ張り。」 「人のこと言えねーだろ。」 お前が渋沢を見てることなんて、わかりきってる。 諦める気がないことだって、痛いほどに。 だけどそれは俺だって同じだから。 ムカツクから認めたくなんかねえけど、お前の想いを誰より理解しているのは俺なんだ。 だから今は。 今はまだ、このままでいてやる。 けど俺だっていつまでも大人しく、お前を応援なんかしてやる気はない。 今の状態のまま終わらせるなんて、まっぴらだからな。