『。』 「わー!イリオンから電話してきてくれるなんてどうしたの?嬉しいー!」 『別にたいした用事じゃないわ。・・・少し、その、聞きたいことが・・・』 「いいよいいよ!お姉さんに何でもどーんと聞いてちょうだい!」 『いつ貴方がわたしのお姉さんになったの!リョーイチの恋人だなんて認めてないって言ってるでしょ!』 「もー、素直じゃないなあイリオンてば。それでどうしたの?」 『・・・その、あの・・・』 「ん?」 『は・・・リョーイチとどうやって恋人になったの?』 「・・・ん?んー?!」 『あ、貴方みたいな人がリョーイチの恋人になれるなんて、何かあるんでしょう!絶対に成功する方法とか、あるでしょう!』 「なにか・・・なにか・・・そうねえ、言うなれば・・・」 『何?』 「永久不滅の愛!!」 ガチャッ。ツーツーツー。 「・・・。」 トゥルルル・・・トゥルルル・・・ 『はい。』 「いきなり切らないでよイリオン。焦ったわー。」 『貴方がふざけてるからでしょ!』 「ふざけてないよ!天城のこと大好きだもん!」 『わたしの方が大好きよ!』 「私よ!」 『わたし!』 「私!」 「・・・あれ?それでなんだっけ?」 『も、もういい!』 「いいじゃん、悩んでるなら口に出してみるのもひとつの解決方法だよ?」 『・・・。』 「別に天城の彼女って思わなくてもいいから、友達として話聞かせてよ。」 『貴方みたいな友達、うるさいだけだわ。』 「なにをー!」 『・・・最近、胸が苦しいの。』 「・・・え?」 『その人のことを考えると温かくて嬉しくてドキドキして、どうしようもなくなるの。』 「・・・それはもしや、」 『言わなくたってわかってるわ。わたし、好きな人が出来たの。』 「わ、わ、うわあ!本当?素敵じゃないイリオン!」 『だけど、相手は私よりもずっと年上で、その、子供にしか見られていなくて・・・』 「そうなの?でも、そう思ってるのはイリオンだけかもしれないじゃない。」 『違うわ。だって7つも離れてて・・・』 「・・・7つ?」 『日本人だし・・・』 「日本人?」 『わたしも最初はお兄さんとして・・・』 「ちょ、ちょ、ちょっと待ってー!天城はだめ!イリオン相手じゃ勝ち目ないよ!戦うけど!!」 『何勘違いしてるのよ!リョーイチじゃなくてショウの・・・あっ!』 「ショウ・・・風祭くん?!」 「そうかー、風祭くんねー。彼は鈍そうだわ。」 『でしょう?』 「多分彼、いつもサッカーのことで頭がいっぱいじゃない?さりげなくじわじわ行くのはどう?」 『じわじわ?』 「少しずつ少しずつ、イリオンの存在を刻み込んでいくの。イリオンが傍にいないと不自然ってくらいに。 天城もいるんだし、やろうと思えばできそうじゃない?」 『それはもうやってる。リョーイチとしょっちゅう会いに行ってるわ。』 「後は愛の言葉ね。」 『愛?また貴方って人は・・・』 「でも、大事だと思うよ?別になんだっていいんだよ。好きでも、大切でも、楽しいでも。 自分が好かれてるって言葉にしてもらえるのは嬉しいものだと思う。」 『・・・リョーイチも言うの?』 「いやあ、なかなか言わないね。代わりに私が言ってる!」 『はそれでいいの?』 「うん、天城のそういうところも好きだから。」 『・・・ふーん。』 「日本語での言葉は私が教えるとして、ドイツ語でも言ってみたら? 勤勉な風祭くんだから、今のなんて言ったんだろうって気になって調べるかもよ?」 『そ、そう・・・?何がいいかしら?』 「なんだろう・・・えっとね、辞書辞書・・・って、イリオンの方が詳しいんじゃないの?」 『言葉が浮かばないんだもの!仕方ないでしょ!』 「あ、これ使ってみれば?Schatz・・・いや、こっちだ!」 『え?』 「Schaetzchen!!」 『ショウのどこが小さくて可愛いのよ!!私がマシュマロあげてるからこれから伸びるんだから!!』 「違っ・・・!イリオン!私にとってのイリオンでぴったりだなあって思っただけー!!」 『なっ・・・ば、ばかじゃないの?!』 『・・・貴方、ばかにしないのね。』 「何が?」 『7つも年が離れてる人を好きになっても・・・おかしくない?ばかみたいって笑わない?』 「もちろん。おかしくなんてないよ。」 『・・・っ・・・』 「イリオン?」 『もう寝る。』 「はーい。おやすみー。」 『ア、ア・・・』 「?」 『アリガト!オヤスミ!』 「・・・。」 「相変わらず素直じゃないんだから。」 TOP ------------------------------------------------------- シェッツヒェン(Schaetzchen)/シャッツ(Schatz)・・・ドイツ語で「小さな宝物」/「宝物」 ※ヒロインとイリオンはお互いの言葉を片言でしゃべってる設定です。 |