「おはようv」 「・・・。」 「は相変わらず、寝起き悪いよね? けど安心して?俺は朝強いから、結婚したら俺が起こしてあげるよ。」 「・・・?」 「・・・。」 「・・・ぎゃー!!英士っ!!」 「朝から俺に会えたからって、そこまで感激してくれるなんて嬉しいな。」 「何でここにいるのよ?!ていうか、私部屋に鍵っ・・・その前に何でウチに入って・・・!!」 「え?愛の力?」 「出てけーーーーー!!!」 朝、寝ぼけた頭で見上げた人物。 そこにいたのは郭 英士。 綺麗な顔で笑う、私の幼馴染がそこにはいた。 無限大の愛を、君に。 「本っ当、信じらんないんだけど!」 「どうしたの。そんなに怒って。怒った顔も可愛いね。」 「(無視)朝から女の子の部屋に無断で入るなんて、ありえないでしょ?!」 「俺との仲でしょ?ていうか、もうあの部屋は『俺たち』の部屋だよね。」 「勝手に自分の部屋にするな。アンタはどこぞのジャイアンですか。」 「やだな。俺はあんなに音痴じゃないよ?」 「いや、気にするところはそこじゃないから。」 ちょっと頭のネジがはずれてしまっているんじゃないかと思うこの男は郭 英士。 昔から隣の家に住んでいる、いわゆる幼馴染。 昔からそうしているように、今日も並んで学校に向かう。 「ていうか、何で私の部屋に入れたの?私、(英士対策に)部屋の鍵かけて寝てるんだけど。」 「って本当、恥ずかしがりやだよね。俺たちの間に鍵なんて必要ないのに。 仕方がないから、おかあさんに頼んで、こんなものを作ってもらったよ。」 「は?」 英士がポケットから、何かを取り出す。 ポケットから出てきたそれは、明らかに鍵。・・・って・・・ 「私の部屋の鍵?!」 「お義母さんは快く渡してくれたよ。」 「おかあさんって、私のお母さんかよ!もー!何でノリで鍵とか渡すかなあの母親は!!」 「俺たちの今後に期待してるって。頑張ろう!!」 「何を頑張るのさ。」 「それは当然俺たちの子供「あー。うん。何でもない!」」 朝っぱらから何なんなんだろう。このテンション。 学校ではクールビューティーとか言われてるくせに、その面影が微塵も感じられない。 「とにかく!その鍵返してよ!」 「どうして?ダメだよ。俺はいつでもに会いたいのに。」 「寝てるところなんて、見られるの嫌なんだってば。」 「何で?眠ってるはあんなに可愛いのに。あ、今ももちろん可愛いよ? 思わず襲いたくなるくらい「何が何でも返せ。」」 手を伸ばして鍵を取ろうとしたけれど、その鍵はすぐに引っ込められた。 何が何でも取り返そうと、英士に近寄ると、英士の獲物を捕らえた!みたいな目に気づいて 即座に後ずさる。これ以上は危険だわ・・・!! 危ないので仕方なく、鍵は私の許可なく使わないことを約束させた。 英士が変な気を起こさないうちに(もうすでに起こしてるけど)、部屋の鍵をつけかえてしまえばいい。 「言っとくけど、お義母さんは俺たちの味方だよ?」 英士がクールビューティと言われるその顔で、綺麗に微笑む。 ・・・お母さんにもしっかりと言っておかなきゃ!!強く、思った。 「いいな〜。」 「は?何が?」 「だって、あの郭くんと幼馴染だなんてさ〜!憧れちゃうよ!」 何も知らないクラスメイトが、本当に羨ましそうに私を見る。 そう。英士は学校ではクールビューティ。学校の女子の憧れの的だ。 「あの綺麗な顔とかさー!」 ・・・まあ顔がいいのは認めるけど。 「クールで他の男子みたいに、うるさくないしさー。がっついてないよね。」 ・・・クール?がっついてない?? 「さりげなく笑う顔とか、やられた!って感じ。参っちゃうよね〜!」 ・・・黒い笑顔なら何回も見てるけどね。やられる!って感じ。参っちゃうよね〜! ああ、真実を知らないって恐ろしい・・・!! そう思った矢先、廊下から歓声らしきものが聞こえた。 何だろ?何かあったのかな?教室のドアへと視線を向ける。 それと同時に、教室のドアが開かれた。 「。一緒にお昼行こうよ。」 「・・・。」 歓声は最高潮。ついでに隣に座ってるクラスメイトも歓声を上げている。 歓声の元って英士ですか・・・!! 「・・・私、教室で食べようかと「ごめんね?借りていってもいいかな?」」 「は、はい!!」 「だから私「じゃあ行こうか?。」」 「・・・はーい。」 有無を言わさぬオーラを醸し出して、英士が綺麗な顔で微笑む。 クラスの女子は皆、ノックアウトされてたみたいだけど、私には黒い笑顔にしか見えません。 「英士さー。自分が目立つの自覚してよ。あとで鋭い目で睨まれるの私なんだからね?」 「え?なんのこと?」 裏庭にあるベンチに腰掛け、持ってきたお弁当を広げる。 ここに来るまでに、歓声の波をくぐりぬけてきた。 英士には歓声を、私には恨めしげな視線を。ああ、女の恨みって恐ろしいって言うのに・・・!! 「大体なんで英士、学校じゃ性格違うの?」 「何言ってるの?全然違わないよ。」 「嘘だ〜!クールでうるさくなくて、さりげなく笑うとか言われてるんだよ??」 「ふーん。全然興味ないけど。」 うわー。本当に全く興味なさそう。 ていうか、気づいてはいたけど、英士の学校での態度って作ってるんじゃなくて・・・。 「英士、クラスじゃあまり喋らないでしょ?」 「どうでもいい人間しかいないクラスで何を喋るの?」 「・・・ちなみに、それでも誰かに話し掛けられたときには?」 「仕方がないから話すよ。たまに、あまりにもバカらしい会話内容に笑っちゃうけどね。」 クール→どうでもいいだけ さりげなく笑う→たまに見せる嘲笑 ・・・ひどっ!! 「がいないクラスなんて、キムチのない食卓だよ。」 「いや、その比較はどうだろう。」 お昼休みが終わり、私たちはそれぞれの教室へと戻る。 教室へ戻った途端、怒りの視線やら、恨めしげな視線やらを向けられたのは言うまでもない。 「つまりだなー。この式をxに代入するとー・・・」 午後の最初の授業は数学。当然眠気が襲ってくる。 私は気分を紛らわすようにして、窓の外を眺めた。 体育の授業でサッカーをしているみたいで、ジャージ姿の生徒がボールを追いかけていた。 ん?あれは英士だ・・・。 そっか。英士のクラスなんだ。 しばらくその光景を眺めていた。 英士はユース所属なだけあって、他の男子を一蹴している。 隣のコートでテニスをしていた女子たちが黄色い悲鳴をあげていた。 確かに・・・サッカーしてる英士って格好いいとは思う。 普段のアホっぽさが全然見えないっていうか。 ていうか、いつからあんなにアホっぽくなったんだっけ・・・。(ひどい) 「この公式を使うことで、以上の問題を解くことができる。」 数学の先生が問題の説明をしている。 私は、その説明を聞き流して、別の思考にふけっていた。 確か中学までは、私の部屋に侵入したりなんて、常識外れたことはしなかったはずだ。(黒かったけど) もちろん、私に愛が云々なんて、話したこともなかったし。(黒かったけど) ジュニアユースの練習に夢中になって、その夢を話してくれもしたし。(黒かったけど) 確か、こうなったのは最近。高校入学直前あたりだった気がする。・・・なんで? 「じゃあ、ここの問題を。板書して。」 「え、わ、はい!」 突然名前を呼ばれ、思考が停止する。 それと同時に、慌てて返事をし、隣に座る友人に助けを求めた。 結局その友達も、授業を聞いてなくて、先生に怒られる結果にはなったけど。 「待って。俺も帰るよ。」 「あれ?英士。ユースは?」 「今日は休み。朝も言ったけど忘れてた?まあ、のそういうボケたところも可愛いけどね。」 「(無視)英士さ、何でそんなキザったらしいセリフ言うようになったの?」 「は?何のこと?」 「確か、中学までは普通に話してたじゃん。部屋に勝手に入ってきたりもしなかったし。」 「そんなの、が好きだからに決まってるでしょ。」 「・・・もーいいからさそれは。どうせからかってるだけでしょ?」 いつものように英士の反論の声が聞こえるかと思い、言葉を待った。 けれど、その後の言葉は続かず、私は隣にいる英士を見上げた。そこには。 ショックを受けたように、驚いた顔をした英士がいた。 私を見たまま、悲しげな表情を浮かべる。 「・・・英、士・・?」 「ずっと、そう思ってたの?」 英士の表情はあまりにも真剣で。 私は予想外の出来事にとまどい、何も言葉を発することができない。 諦めたように英士が前を向きなおして歩く。 私も黙ったまま、その横を並んで歩いた。 こんな英士は初めてで、こういうときに何て言葉を言えばいいかなんてわからなくて。 ふざけながら、明るく声をかけたってよかったのかもしれない。 けれど、今はそんなことして誤魔化しちゃいけない気がして。 幼馴染なのに、ずっと一緒にいたのに、どうすればいいのかわからないなんて。 無言のままで英士と帰り、家に着いた。 その夜は、胸がモヤモヤして、なかなか寝付けなかった。 ピピピピッピピピピッピピピピッ 機械的な目覚まし音が鳴る。 昨日はなかなか寝付けなかったから、目覚ましの音がいつも以上にうるさく聞こえた。 目覚ましを手探りで探すために、布団の中で体勢を変える。 すると、布団の中で何かがぶつかった。 「・・・?」 「・・・うん?・・・おはよ。」 「・・・ギャーーーー!!英士ーーーー!!っわあ!!」 布団の中でぶつかったのは英士。 何で、何で何で何で、何で英士が私の布団の中に入ってるの!! 慌てた勢いで、ベッドから転げ落ちる。 「?大丈夫?感激しすぎだよ。」 「ち、ちがっ・・・!!何、英士、何でっ・・・昨日鍵・・・」 「。落ち着いて。嬉しいのはわかったからね。」 あまりの出来事に、言葉がつながらない。 対照的に、英士は冷静に笑顔を浮かべる。 「何で私のベッドに入ってるのよっ?!」 「愛情表現が足りなかったかなって思って。まずは行動で表してみたよ。」 「そんなのっ・・・!!」 怒りにまかせて言葉を続けようとして、ふと昨日の出来事を思い出した。 驚いて、悲しそうな英士の顔。そんな顔をさせてしまったのは・・・。 「・・・わかってるよ。充分すぎるくらいに。」 「・・・本当に?」 「・・・うん。」 「本当に、わかってるよね?」 「わかってる。わかってた。・・・ごめん。」 わかってた。英士の言葉が嘘じゃないことくらい。 けど、私たち今まで幼馴染してきたのに、どうして急にって混乱してた。 わかってないふりして、はぐらかしてた。 「だって英士、何で急にこんな風にっ・・・混乱するじゃん・・・。私たち、ただの幼馴染だったのに・・・。」 英士が少しだけ沈黙して、私をまっすぐに見つめる。 「さ、中3のとき、クラスの男にフラれたよね?」 「・・・え?まあ、うん。」 ちょっと苦い思い出。 私は卒業を前にして、同じクラスの男子に告白し、玉砕した。 「そのとき、泣いてたよね? 誰もいない教室で、声を殺して、ずっと泣いてた。」 「・・・!!見てたの?!」 「俺も、痛かった。胸が締め付けられるみたいだった。」 「・・・英士。」 「大切な幼馴染が泣いてたから?ううん。違った。 いつも強気なが、弱いところを見せないが、こんなになるまで想ってた相手がいたからだよ。」 「っ・・・。」 「大切な幼馴染だった。かけがえのない人だった。けどね。それ以上の感情もあったことに気づいたんだ。」 「ああ、俺はこんなにも、のことが好きだったんだ、って。」 英士が優しく微笑みながら、私を見つめる。 顔が、熱い。 英士が私を見つめるその視線から、目がそらせない。 「俺の気持ち、伝わった?」 「・・・うん・・・。」 「ああよかった。これで心置きなく迫れるね。」 「・・・うん・・・ってはぁ?!」 「恥ずかしがらなくていいよ。俺に全部任せてくれればいいからv」 「違う違う違う違うっ・・・!!何で今のからこういう展開になるのよっ!!」 英士が綺麗な微笑みを浮かべて、ベッドから遠ざかろうとする私の腕を掴む。 そのまままっすぐ見つめられ、動けないでいる私に英士の綺麗な顔がどんどん近づいてくる。 ・・・やばい・・・!やばいよね!この状況は・・・!! けど、そんな状況で、ふと思う。 英士が私を想ってくれていたことを知ってて、そのままでいたことは事実。 英士が悲しい顔をして、胸が痛んだことも事実。 英士がその気持ちを、まっすぐな気持ちを話してくれて、嬉しかったことは・・・事実。 じゃあ、私の気持ちって・・・・? ちゃららっちゃっちゃっちゃちゃらら〜♪ 「・・・。」 「・・・携帯?」 それはとても軽快な音楽。 私の携帯じゃないから、英士の着メロだよね・・・? そんなことを思っていると、英士の腕の力が一瞬ゆるんだ。 その瞬間、条件反射というかなんというか、私は英士から素早く離れた。 「・・・?」 「学校・・・!もう学校行かないと!!」 「いいよ学校なんて。俺はと愛しあいた「よーし!準備だー!!」」 「・・・。」 怖い・・・。英士から非常に怖いオーラを感じるっ・・・!! そのオーラに耐えきれず、適当な会話を探す。 「ちゃ、着信・・・!誰だったの??」 「・・・結人。」 「そ、そっか!何だろうね?きれちゃったから、かけ直せば?」 「・・・いや、直接会ってくるよ。」 「はぁ?!」 「ちょっと・・・絞めてくるね。」 「ちょっ、絞めっ・・・って、え、英士!?」 「あ、そうそう。。」 「え?」 「続きは学校から帰ってきたらね。逃がさないよ。」 「はぁ?!何言ってっ・・・!!英士!!」 黒いオーラを背負ったまま、英士がゆっくりと私の部屋から出ていく。 窓からその姿を追うと、私の家から出た途端、猛スピードで走り去る英士の姿があった。 えーと・・・ごめん!結人くん!! 君なら生き延びれると信じてるよ・・・!! そして私も。 今日は帰ってきたら鍵をかけて家に閉じこもろう・・・!大丈夫!自分の貞操くらい自分で守れるし! 「・・・。」 って英士、私の部屋の鍵持ってるんですけど・・・!! やっぱり取り上げとけばよかった・・・。 ---------------------------------------------------------------------- 2000HIT龍生華菜さまのキリリクでした〜。 リクは甘の壊れ英士。えーと、あれ?壊れっていうかエロ英士?黒英士? えー。とりあえずこんな英士が出来上がりました〜!(ごまかし) この後ヒロインさんはどうなるんでしょうかねぇ。(遠い目) いかがでしたでしょうか?華菜さま、キリリクありがとうございました! ---------------------------------------------------------------------- TOP |