「ねえサンドリヨン、何があったの?」

「・・・言いたくない。」





シンデレラがお城を後にしかぼちゃの馬車に戻ると、そこにはすでにサンドリヨンの姿がありました。
突然いなくなったサンドリヨンに理由を聞いても、不機嫌そうな顔で答えてくれません。





「あれ、サンドリヨン。ダイヤの靴は?」

「無くした。シンデレラこそ片方ないよ?」

「私も必要に迫られて・・・無くした。」





サンドリヨンにも何か理由があったのかもしれません。
シンデレラはそう思い直し、それ以上聞くことを止めました。
そして気になったのは、自分と同じようにサンドリヨンにも片方の靴がなかったことです。





「あーあ!ダイヤの靴無くしちゃったの?」

「魔法使いさん!」

「シンデレラのガラスの靴はなんとかなるだろうけど・・・
ダイヤの靴は弁償できるの?」

「は?僕に勝手に渡したのはそっちだろ?」

「でもあげるとは言ってないよー?」





『まるで悪徳商法のようだ。』

『笑顔ってのがまた嫌だよなー。』





シンデレラたちに無くしたものを弁償するお金なんて、あるわけもありません。
困った表情を浮かべる二人を見て、魔法使いは優しく微笑みます。





「なーんて冗談冗談!いいよ、無くしちゃったものは仕方ないもんね〜!」

「魔法使いさん・・・」

「それじゃあ服は返してもらって・・・靴は無くした片方が見つかるまでは預けておくよ。
両方揃ったら返してね。それでいい?」

「もちろん!今日は楽しかった!ありがとう魔法使いさん!」

「ううん、僕も喜んでもらえたなら嬉しい!」





舞踏会に行っている間に頼まれていた仕事は、魔法のおかげかすべて終わっていました。
さらに、魔法の馬車も馬になったねずみも元の姿へ戻ります。





「ねずみさん・・・今日は本当にありがとう。」

「楽しかったか?」

「うん!」

「俺もいつもと違う世界が見れて楽しかった。よかったな、シンデレラ。」

「ねずみさんっ・・・!」





『こうしてシンデレラはねずみと幸せになりました。完。』

『む?もう終わりか?意外とはやかったな。』





ねずみと絆を深めたシンデレラ。だけどまだ終わってない。終わってないよ!



こうしてシンデレラとサンドリヨンは、元の服、元の生活に戻っていきました。



そんな彼女たちの元に、あらたなお触れが出されたのは、それから数日後のことです。






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