「さて、皆集まったかしら?」

「・・・デジャヴを感じるんですが、監督。」

「気のせいよ!今日皆に集まってもらったのには理由があります!」




東京都選抜メンバーを中心とした、同年代の若者たちが一堂に会する。
共通点といえば、全員がサッカーの実力者であるということ。
何も知らずに疑問を持つ者、予想がついてる者、楽しんで笑みを浮かべている者と反応は様々だ。

そんな彼らを見て、東京都選抜の監督、西園寺玲はその美しい顔で微笑んだ。





「日頃、お世話になっている皆さんに感謝の気持ちを示したいのよ。」

「・・・?どういうことだ?」

「・・・どうしよう、俺、話が見えてきちゃった。」

「また前みたいなことするんだ!いいっすね〜!!」





ざわついた室内。その中の一人が言葉を発する。





「またいきなりそんなこと言って、玲・・・監督の思いつきだろ?!
前みたいにぐだぐだになるよ?ああ、僕以外のことだけど。」

「ふふ。心配しなくてもそこがよかったって、ありがたいお言葉もいただいているわ。」

「あれでいいの?!」

「今回は台本ももっとアバウトな感じにして、基本的に皆の演技力とアドリブに任せようと思ってるの。」

「それ玲が台本書くの面倒なだけだろ?!」

「それに今回は事前に配役のアンケートも集計済みよ。ぬかりはないわ?」

「人の話を聞けー!」

「さあ、もう意見はないわね。話を進めるわよ!」





強引に進めたようにも見える彼女だが、その言葉どおり反論はなかった。
その代わりに呆れたような、諦めたような、楽しそうな、様々な表情が見て取れる。






演目:シンデレラ






「次はシンデレラか・・・!」

「次こそ俺、王子かな!王子かな?!」

「さあね。アンケートって言ってたから、結果次第じゃない?」

「うわー、どうなってっかな〜!」








「さあ、配役を発表するわよ。皆、手を抜かないで全力で演じること!」












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※一部配役ネタバレを含みます。