「お邪魔しまーっす!!」 一人で過ごすと思っていた大晦日。 けれど目の前には、私の苦手なあの人を含む数人の男の人が立っていた。 ああ。私の静かな年越しが・・・。 一体どうしてこんなことになったんだろう。 好きと苦手の境界線 「お兄ちゃん、大晦日は藤代先輩たちと遊ぶの?」 「え?どうして・・・。」 お兄ちゃんとは結局タイミングが合わず、一緒に帰ることはできなかった。 私よりも一足早く家についていたお兄ちゃんに、今日藤代先輩と会ったことを話した。 「私のことは気にしなくていいよ。友達と遊んで!」 「・・・。本当にいいの?誠二はそう言ってたみたいだけど、俺は断るつもりだったよ?」 「ううん!私は大丈夫。私だってもう中学生なんだよ?」 お兄ちゃんに甘えるだけじゃなく、気を遣ってあげられる。何だか自分が大人になった気分だ。 そんな小さな達成感のようなものを感じて、誇らしげに答える。 「家に俺の友達を呼ぶなんて、なら絶対に嫌がると思ったけど・・・。 も成長したんだね。」 「・・・え?」 誇らしげに笑った後に聞こえた、お兄ちゃんの台詞。 私は表情はそのままに、お兄ちゃんの言葉をもう一度聞き返した。 「じゃあ大晦日。あいつら俺の家に呼ぶね。も一緒に年越ししようか。」 「ええ?!」 ちょ・・・ちょっと待って!! 遊ぶって・・・うちで遊ぶの?!うちで年越し?! 神社とか街中とかファミレスとかカラオケとか・・・いくらだって場所があるのに、何で私の家?! 「年末は親がいないっていったら、あいつら勝手に俺の家で遊ぶとか決めちゃってさ。 どうやって止めさせようか考えてたんだけどね。俺はと年越ししようと思ってたし。」 「え・・・あの・・・」 「けどがそう言ってくれるなら、そうしようか。ももう中学生なんだもんね。」 あまりにも優しく静かに笑うお兄ちゃんに、私は二の句が告げずにただ口をパクパクとさせていた。 今更・・・言えない・・・!勘違いだったとか言えない。 あんなに堂々と「私だってもう中学生なんだよ?」と誇らしげに言った手前・・・言えない。 でも、お兄ちゃんの友達と一緒に年越しなんて、絶対に嫌・・・! ただでさえ人見知りの性格なのに、男の人だって苦手なのに。 年上でお兄ちゃんの友達の中に混ざって、楽しむことなんてできない。 そんな居づらい場所にいるよりも、一人の方が全然いい。 私は必死で、ない頭から言い訳を考え出す。 「あの・・・お兄ちゃん。」 「ん?」 「友達を呼ぶのは全然いいの。だけど私は自分の部屋にいるよ。 年越しはと電話で話そうって約束したんだ。」 「ちゃんって・・・海外旅行中じゃなかった?」 「だからは海外から。それに・・・お兄ちゃんの友達の中に混ざるのは・・・。」 ここまで言えばお兄ちゃんはわかってくれるだろう。 さっきまで大人になった気分なんて思いながら、結局私は未だお兄ちゃんにあまえているんだ。 「そっか。でもそれなら俺も断・・・」 「ダメ!!絶対ダメ!!お兄ちゃんはお友達と遊んで!!」 これ以上お兄ちゃんにあまえっぱなしなんて、格好悪すぎる。 お兄ちゃんをこれ以上困らせたくなんてない。 そんな思いが伝わったのか、お兄ちゃんは複雑な表情をしながら わかったよ、と私の頭を撫でた。 それが数日前。 そして大晦日はやってきた。 「君が笠井の妹さんなんだ。初めて見た。」 初めてと言うのも無理はない。 私は極力、サッカー部には見にいかないようにしていたし。(周りが怖いから) 同じ学校と言っても、1年の数あるクラスの中でも一際目立たない存在。 もし廊下ですれ違っていたとしたって、記憶に残るはずもない。 「藤代!お前靴くらいちゃんと揃えてから上がれよ!」 「え!ああ!頼んだ根岸!!」 「たくっ・・・あ!おい!中西もわざと脱ぎ捨てていくな!!」 ぶつぶつと言いながらも、二人の靴をきちんと揃える。 なんだか今の二人の保護者みたいな人だなぁと、一人考えていた。 「。この二人とは初めてだったよね。右が根岸で左が中西。二人ともサッカー部の2年だよ。」 「こ・・・こんにちは。」 「こんにちは。」 「どーも。」 「それでこっちが妹の。・・・いじめたら俺が許さないから。」 「「・・・了解!!」」 ・・・一瞬、二人の表情が固まった気がしたけど。 私は隣に立っていたお兄ちゃんを見上げる。 そんな私に気づいたお兄ちゃんはいつも通りの優しい笑顔を向ける。 目の前の二人は何かに怯えたように笑っている気がするけど・・・気のせいかな。 「じゃあお兄ちゃん、私は部屋に行くね。」 「ええ?!ちゃんも一緒にいないの?!」 「うるさいよ誠二。もいろいろあるんだよ。」 「ええー!!俺ちゃんと年越しできると思って、楽しみにしてたのに!!」 「・・・し、失礼します・・・。」 階段を上っていく私の後ろからは、未だ藤代先輩の声が聞こえる。 やがてベシッといい音が聞こえて、その声は止んだ。 誰かが藤代先輩に実力行使(殴った)して、止めたのだろう。 お兄ちゃんに伝えた友達との電話の話は勿論嘘だったので、一人で読書に勤しむ。 階下からは、たくさんの笑い声と騒ぐ声。 静かに過ごしたいと思っていたけれど、本に集中してしまえばさして気にならない。 それにもし気になるようだったら、音楽でもかけてしまえばいい。 さっきの挨拶のときは緊張したけど、これで誰に気を遣うこともなく、無事に平穏な年越しができそうだ。 コンコン そう思った瞬間。 ドアをノックする音が聞こえた。お兄ちゃんかな。 「お兄ちゃん?」 「ざんねーん!タクじゃないよ!」 「ふっ・・・藤代先輩っ・・・!」 お兄ちゃんだと思い込み、少しだけ開けたドアの先には思ってもみない人物。 「なっ・・・何ですか?!」 「そんなドアの隙間から覗くみたいに話さなくても・・・。」 藤代先輩が苦笑する。 だって、何で藤代先輩が私の部屋に来るの? 私に用があるなら、普通はお兄ちゃんが来るよね?! 私はドアを少しだけ開けて、先輩の姿を覗き込んでいるかのような状態で藤代先輩を見上げた。 「やっぱりちゃんも一緒に遊ぼうよ。つまんないじゃんか一人じゃ。」 「そんなことないです。私、一人って結構好きですから・・・。」 本当のことだった。 そりゃ藤代先輩は一人って苦手に思ってしまう人なんだろうけど、私は違う。 一人の時間が好きだし、苦痛でもない。 「今、下でゲームしてるしさ!タクに聞いたけど、ちゃんもゲームできるんだよね?!」 「あの・・・だから・・・私は・・・。本当に気にしないでください。」 「いいからいいから!ホラ!行こうよ!!」 ドアの隙間から腕を掴まれ、そのままの勢いで部屋の外へと引っ張られる。 先輩の力は本当に強くて。抵抗しようにも全然叶わない。 私は一人でだって構わないのに。男の先輩たちに混ざるだなんて、そんなの苦痛でしかないのに・・・。 藤代先輩は誰とでも仲良くなれるのかもしれないけど、そうじゃない人間だっているのに・・・!! 「・・・離して・・・離してくださいっ・・・!!」 「・・・え?」 「私、一人でいいって言ってるじゃないですか・・・。 よく知らない・・・しかも男の人たちの中に混ざるなんて、できないんです・・・!」 「・・・ちゃん・・・。」 「だ・・・だからっ・・・。私のことはほっといてくださいっ・・・。」 私の腕を掴んでいた先輩の力が抜ける。 それと同時に、私はすぐに自分の部屋へと駆け込んだ。 「・・・っ・・・。」 明るくて優しくて、皆に好かれる藤代先輩。 だから「友達の妹」である私を気遣ってくれたのはわかってた。 でも私は先輩のような人間じゃない。 誰にだって優しくするなんてできないし、他人と気兼ねなく話すことだってできない。 先輩のようには、なれないんだよ。 私の態度に先輩も呆れただろう。怒っただろう。 いくら友達の妹だからって、もう必要以上に構ったりしないだろう。 それで、いい。元々藤代先輩は苦手だった。 こんなにも性格が違って、価値観も違って。 うまく話すことさえできない私に、今まで何度も話しかけてくれていたことがおかしかったんだから。 だけど。 いつも笑顔でいる先輩の、あんなに悲しそうな顔は初めてだった。 皆を和ませる、皆を惹きつけるあの笑顔。 私の言葉がそんな力を持つなんて思わないけれど。 その笑顔を崩させてしまうくらいに、藤代先輩を傷つけてしまったのだとしたら・・・。 それからどれくらいの時間が経っただろうか。 私は部屋に戻り、再び本を手にとっていた。 ページをめくりはするが、その内容が頭に入ってくることはない。 その間には何回も先輩たちの笑い声が聞こえていた。 藤代先輩の声も聞こえる。よかった。笑ってくれているようだ。 そして。 「あけましておめでとーーー!!」 年を越しての第一声。 先輩たちは最高潮の盛り上がり、とでも思えるくらいに私の部屋まで声が届いていた。 ちょっとご近所さんの対応が心配になるくらいに。 今年の年越しは初めて一人で過ごして。 平和で静かな年越しが送れていたはずなのに。 心の中はモヤモヤとしていた。 それから1時間後。 私の部屋のドアを再度ノックする音が聞こえた。 一瞬、藤代先輩が脳裏をよぎったが、あんな風に言った私のところへ先輩が来るはずもない。 起きてる?と一声くれたその声は、やはりお兄ちゃんだった。 「明けましておめでとう。。」 「おめでとう。お兄ちゃん。」 ああ。やはり私はこの穏やかな雰囲気が好きだ。 言葉にしなくとも、私の心を理解してくれる兄が好きだ。 お兄ちゃんを見て、何だかほっとして。心のモヤが少しだけ晴れた気がした。 「こんな時間に悪いんだけど・・・ちょっと手伝ってくれる?」 「うん。いいよ?」 「お客用の毛布の場所がわからなくて。」 「それならお父さんたちの部屋に置いてあるよ。皆寝ちゃったの?」 「うん。オールするー!とか言ってたのにね。ていうか、まだ1時だよ?」 結局皆、子供なんだよね。と苦笑しながらお兄ちゃんが言う。 あれだけ騒いでいれば眠くもなるんだろうな。 ていうか皆が寝ている中で、一人冷静に毛布まで用意しようとするお兄ちゃんが逆に大人すぎると思うんだけど・・・。 「手伝うよ。一つ持っていくね。」 「ああ。ありがと。」 毛布の一つは押入れを開けてすぐにあったけれど、残りは奥に押し込まれている。 私は一つだけ出してあった毛布を持って、階段を下りた。 先輩たちに混ざるのは嫌だったけれど、先輩たちが皆寝てしまっていると言うのなら問題はない。 リビングに入ると皆、思い思いの格好で眠りについている。 お兄ちゃんが後から毛布を持ってくることを考えると、一番奥にいる人にこれをかけてあげるのがいいだろう。 私は眠っている先輩たちを起こさないように、静かにその人物に近づく。 一番奥で仰向けになって、豪快に眠っていたのは藤代先輩。 先ほどのことを思い出して、少しだけ胸が痛む。 けれどこの光景を見た感じでは、先輩はさっきのことなんて忘れて楽しんでいたようだ。 笑い声は聞こえていたけれど、実際に楽しんでいただろう散らかり具合を見て、そっと胸を撫で下ろす。 だけど、あのとき先輩に悲しそうな顔をさせてしまったのは私だ。 先輩が起きているときに言えない自分に呆れるけれど、一言だけ。先輩に謝りたかった。 「・・・ごめんなさい・・・。」 小さく呟きながら、静かに毛布をかける。 すると、眠っていたはずの藤代先輩にその手を掴まれた。 「せ・・・先輩っ・・・?!」 「俺の方こそ・・・ごめんね・・・?」 どうやら先輩は眠っていなかったようで。 私の言葉もちゃんと聞いていた。そして、先輩も私に謝る。 さっき見せた、悲しそうな表情をまた浮かべて。 「ちゃんと一緒に遊びたかったんだ。だけど・・・ちょっと強引だった。 ちゃんの気持ちも考えずに・・・本当にごめん。」 ・・・そんな悲しそうな顔をしないで。 私だって先輩の気持ちも考えずにあんな風に拒絶して。 先輩のことが苦手だ苦手だと言いながら、先輩から逃げて。 私を思って声をかけてくれていたこと、わかっていたのに。 貴方自身の優しさだって、充分にわかっていたのに。 私はいつだって、自分のことばかりだった。 「私も・・・先輩が気を遣ってくれたのに・・・あんな言い方してごめんなさい・・・。」 「・・・仲直り、ってことでいい?」 「・・・はい。」 仲直りも何も、元から仲がいいと言う訳でもなかった気がするけれど。 そんなことは言えそうもないから。私は素直に頷く。 先輩の悲しそうな顔が見る見るうちに笑顔へと変わっていく。 「じゃあ改めて!明けましておめでと!」 「・・・おめでとうございます。」 この人の笑顔は、こんなにも綺麗だっただろうか。 先輩と話すときはいつも俯いて、きちんと見たことがなかったからなのかもしれない。 先輩のそんな笑顔を見ていたら、自然ともう一言、先輩に伝えたい言葉が浮かんだ。 「先輩・・・あの・・・」 「ん?」 「・・・お誕生日・・・おめでとうございます。」 藤代先輩がポカンとした顔で私を見る。 だってさっき聞こえてきたから。先輩たちの騒ぎ声の中で、藤代先輩の誕生日を祝う声。 だけどやっぱり私が言うのは変だよね・・・?うう。恥ずかしい。やっぱり言わなきゃよかった。 「あ、う・・・ごめんなさい・・・。」 「何謝ってんの?!すっげえ嬉しい!マジで嬉しい!ありがとうちゃん!!」 さらなる満面の笑み。 皆がこの人に惹かれる理由が少し、わかった気がする。 勇気を出して伝えた言葉を、こんなにも喜んでくれる人。 伝えた私でさえも、心が温かくなる。 「じゃあ・・・プレゼント欲しいな!」 「へ・・・?え、でも、私、何も・・・。」 「これからは誠二って呼んで。それがプレゼント!」 「・・・ええ?!」 二人の先輩が寝ているっていうのに、柄にも無く大きな声を出してしまった。 本当にこの人は、私が思ってもみないことをする。 ただでさえ先輩と話すことが苦手なのに、名前で呼ぶなんてできるはずもない。 「そんな・・・無理ですよ・・・。」 「無理じゃない!ホラ!言ってみないと!」 「う・・・。」 「俺の誕生日・・・祝ってくれないの?」 子犬のような瞳で見つめられ、言葉を失う。 今こんな顔で頼まれたら、嫌だなんて言えないに決まってるのに。 「・・・い・・・」 「ん?」 「おめでとうございます・・・せ・・・誠二・・・先輩・・・。」 「・・・うわっ!うわー!マジで可愛いんだけどちゃん!!」 「きゃあ!!」 言葉を伝えるのが恥ずかしくて俯いていた私を、温もりが包んだ。 それが藤代先輩に抱きしめられているのだと気づくのに、数秒。 何?何?何これは?! ただでさえ今の言葉で充分に恥ずかしい思いをしたのに、何なのこの状態は・・・?! 「ねえねえちゃん。」 「は・・・はい?ていうか、離してくださいっ・・・。」 「さっき言ってた『よく知らない男』って俺も入ってるのかなあ?」 「・・・え・・・と・・・。」 私の言葉を無視して、続いた言葉。 私は答えにつまってしまった。それが否定できないからだ。 というか、私が信用できる男の人なんてお兄ちゃんくらいしかいない、と思う。 「そっか・・・。うーん・・・。」 「せ、先輩?」 「よし!今日は一緒に初詣に行こう!」 「・・・ええ?!」 「知らないなら知ればいいじゃん!大丈夫。こいつらは置いていくし!」 「そ・・・そういう問題じゃなくて・・・。何で私と・・・。」 「そんなの、ちゃんのことが知りたいからに決まってるじゃん!」 抱きしめられて、先輩の顔は見えないけれど。 恥ずかしげもなく堂々と言われたその台詞。きっとさっきと変わらない笑顔で言っているのだろう。 先輩の言葉が嬉しくないと言ったら、嘘になるけれど。 初詣なんていかにも人が集まりそうなところに、先輩と出かけるなんてしたらどんなに目立つだろう。 「・・・大丈夫。ちゃんは俺が守るから。」 「・・・っ・・・。」 丁重にお断りしようとしたところへ、またも予想外な言葉。 もしかしてこの人は・・・私が先輩にとってきた態度の意味をわかっている? わかっていて、この言葉をかけてくれている? それでも藤代先輩と出かければ、目立つことは必然。 だから断ろうと思うのに、言葉が出てこない。 藤代先輩が苦手だ。 私と正反対の、いつも誰かに囲まれている人。 いつでも皆の中心にいる人。 私の望む、平穏や静けさとは間逆の位置にいる人。 それでも私は知ってしまった。気づかない振りをしていたのに、認めてしまった。 先輩の周りに人が集まる理由を。騒がしさの中に見える優しさを。 「黙ってるとOKだと思っちゃうよ?」 「・・・っ・・・!!」 「ホラホラ。後3秒ー。3、2・・・」 楽しそうにカウントダウンを始める。 断らなきゃ・・・!このまま勢いに流されて、後で後悔するのは自分なんだから。 だけど、言葉は未だ出てこない。 「1、ゼ「じゃあ俺が行こうかな。」」 「・・・タク?!」 「お、お兄ちゃん・・・!!」 「何してるの誠二。とっととから離れろ。」 そう言って、お兄ちゃんは2つの毛布を抱えてニッコリと笑っている。 笑顔なのに・・・寒気がするのはどうしてだろう。いつもの優しいお兄ちゃんのはず・・・。 そこで眠っている二人も、お兄ちゃんのこの笑顔を見て固まっていたのかな。もしかして。 「いや、俺はねタク。ちゃんと仲良くなりたいなーと!!」 「知ってる誠二?そういうのはセクハラって言うんだよ・・・?」 「・・・ちゃん・・・!タクを止められるのは君しかいない・・・!!」 「ええ?!無理ですよっ・・・。」 「。部屋に戻っていいよ。手伝ってくれてありがとう。」 助けを求める藤代先輩を置いていくのはしのびなかったけれど、 私の心臓もドキドキしすぎていて、早く先輩から離れたかった。 お兄ちゃんの言うとおりに部屋へと戻ることにした。 「。後で俺と二人で、初詣行こう。」 「タ・・・タクッ!!俺も俺も!!」 「黙れセクハラ。だから。準備してて。」 「う・・・うん。」 リビングを出て、階段を上り自分の部屋に入る。 藤代先輩の叫び声が聞こえたのは、それから数秒後だった。 おまけ。 「・・・なあ俺たち、いつまで寝たフリしてるべき?」 「とりあえず、笠井様の怒りが収まるまでだな。」 「・・・ちゃんには絶対手出せねえな。」 「そんな命知らず、藤代くらいしかいねえよ。」 TOP ---------------------------------------------------------------------------------- あけましておめでとうございます! 年賀夢ということで、お相手は藤代くんです!だって藤代くん誕生日ですしね!おめでとう藤代くん! とはいえ、甘さ控えめ・・・な気がします。ていうか、ヒロイン最初から藤代くんを苦手とか言ってますからね。 ヒロインさんのような子もたくさんいると思うのですよ。 目立ちたくない。「その他」に埋もれていたい。静かで平凡な毎日がいい。 そんな子にとって、藤代くんが苦手の対象となる・・・というのも当然のような気がします。 けれどそれは「苦手」であって、「嫌い」ではないのです。 今回、少しだけ近づいた藤代くんとヒロインはどうなっていくのでしょうか。 そしてお兄ちゃんの笠井くんは、ちょっと黒いですね。 ヒロインは自分をブラコンだと言ってますが、彼も相当のシスコンかと。 じゃあ家に友達連れてくるのかという話になりますが、彼もね。お兄ちゃんとして思うところがあったのではないかと。 妹の思いやりを大切にしようとか、妹の成長を思ってとか、でも奴ら妹に手を出したら地獄に落とそう(物騒)とか、 いろいろ思っていたのでしょう。 まだ二人は「恋愛」まで辿りついていません。特にヒロインさん。 二人のこれからとか・・・ちょっと書いてみたいかもですね。 それでは、今年もcrystalをよろしくお願い致します。 2007.01.01 春名 友 ----------------------------------------------------------------------------------
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